豪雪でも出社しなくちゃいけないの? 地方のテレワーク事情2021:仕事が「つまんない」ままでいいの?(73)(2/3 ページ)
「テレワーク」は都市部の専売特許みたいな印象があります。でも実は地方こそ、テレワークを推進した方がいいのかもしれません。その理由とは?
雪国では「非常事態」が日常茶飯事
ちなみに今回のような雪害は、雪が積もるのが前提の地域に住んでいる私にとっては、それほどレアなケースではありません。
「明日は大雪だから、早めに出勤しなくちゃ」と朝5時に起きて、1メートル近い雪の中から埋もれた車を掘り起こし、大型の除雪車が行き来する中、家を出るも、途中で立ち往生している車の列に巻き込まれ、会社に着いたのは正午前。それから、仕事をして、「ちゃんと帰れるかな」と心配しながら夕方帰路に就く……といった経験は、1度や2度ではありません。
「立ち往生に巻き込まれるかもしれないのに、それでも、なぜ会社に行くのか?」ですって?
それは「仕事だから」です。私のこれまでの仕事に対する価値観では、「何があっても会社に行く」のが当たり前でした。「仕事とは、会社でするものだ」「仕事には、遅れてはいけない」「仮に遅れても、全力を尽くさないといけない」……それが仕事です。何があろうと、仕事には行かなければいけないのです。
でも、テレワーク時代の今、ふと思います。「そんなリスクを冒してまで、無理に会社に行かなくたって、テレワークで仕事ができるならそれでいいじゃん」と。「むしろ、そっちの方が安全だし、効率的じゃん」と。
しかも大雪のようなケースでは、多くの人が同じ時間に無理に会社に行くよりも、外出を控えて、移動する車の数を1台でも減らした方が、立ち往生する車を減らせますし、道路の除雪作業もスムーズになります。
このように考えると、自然環境の影響を受けやすい地方ほど、テレワークを推進すればいいのにな……と思うわけです。
地方のテレワーク事情
しかし理想とは裏腹に、現実は全くそうではありません。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、一気に広まったテレワーク。都市部では、多くの人がテレワークを体験しました。そういう意味では、「地方でもテレワーク」は、それほどハードルは高くないのかもしれません。
けれども、地方のテレワーク事情は都市部とは異なります。
例えば、私が住んでいる地域の身近に「テレワークの経験がある」人を私はほとんど知りません。2020年春の緊急事態宣言下でも、時差出勤やオンライン会議などの対応をした人はいても、「テレワークをしている」という人の話を聞いたことがありません。
それよりも、「都会ではテレワーク、テレワークって言うけれど、実際にやっている人、いるの?」と尋ねられる……これが、地方のテレワーク事情です。
もちろん、何でもかんでも「テレワークがいい」とは思いません。私には道路除雪の仕事をしている知人がいます。以前、知人に頼まれて除雪車のオペレーター補助をしたことがあります。みんなが寝静まっている真夜中に、大型除雪車に乗って除雪をする大変な仕事です。このような皆さんに対して、感謝の気持ちこそあっても、「テレワークすればいいのに」なんて安易には言えません。
また、都市部、地方に関わらず、サービス業や製造業、電気・ガス・水道・道路といったインフラ関係の仕事、医療をはじめとするソーシャルワーカーの皆さんのように「現場」がある仕事の場合、テレワークをしたくてもできない場合も多々あることは承知しています。
でも、必ずしもこういった仕事をしている人ばかりではないでしょう。1日の多くをPCの前で仕事しているなら、テレワークできる可能性があるはずです。ましてや、雪国のような地方の方が、自然環境のリスクが多い。それならば、安全かつ効率的に仕事をするためにも、できる人からテレワークが広まればいいのになと思うのです。
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