Azureで「プライベートマーケットプレース」の一般提供開始、サービス購入のガバナンスとデプロイを簡素化:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(136)
Microsoftは2021年2月23日(米国時間)、Azure Marketplaceにおいて「プライベートマーケットプレース(Private Marketplace)」の一般提供を開始しました。Azureサブスクリプション管理者は、プライベートマーケットプレースを有効化することで、Microsoft以外から提供されるアプリやサービスの購入承認を簡素化、ルール化できます。
プライベートマーケットプレースでできることは
Azure Marketplaceでは、Microsoftやパートナー企業が提供する、業界をリードする数千ものアプリやサービスを、Microsoft Azure上で最適化された「認定済みのオファー」として提供しています。Azure Marketplaceの一部として新たに利用可能になった「プライベートマーケットプレース」は、Azureサブスクリプションを利用する企業において、デプロイ可能なアプリ/サービスとして承認したものを簡単に検索、デプロイできるように1カ所にまとめた場所になります(画面1)。
Azureサブスクリプションの管理者は、アプリやアプリの特定のプランを承認してプライベートマーケットプレースに登録し、サブスクリプションの会社の従業員に公開することができます。従業員は、事前に承認されたアプリ/サービスを一覧から簡単に購入したり、デプロイしたりできます。事前承認されていないアプリ/サービスを購入したり、デプロイしたりすることはできませんが、管理者に対して簡単に追加承認を要求することができます(画面2、画面3)。
なお、Microsoftのオファーについてはプライベートマーケットプレースの対象外であり、全て承認されます。Azureの消費コミットメント(Microsoft Azure Consumption Commitment、MACC)のみで利用したい場合は、空の、あるいは無料のアプリのみを含むプライベートマーケットプレースを有効にすることで、従業員による不適切な購入を防止することができます。
プライベートマーケットプレースを有効化するには
プライベートマーケットプレースには、Azureポータルの「Marketplace」のトップに追加された「プライベートマーケットプレース」からアクセスできます。ただし、プライベートマーケットプレースは既定では「無効」になっているため、利用するにはプライベートマーケットプレースを作成する必要があります。
Azureサブスクリプションの管理者(グローバル管理者)は、自身または特定のユーザーに「マーケットプレース管理者」のロールを割り当てることで、プライベートマーケットプレースを作成できるようになります。それには、プライベートマーケットプレースの「アクセス制御(IAM)」を開いて、「追加」をクリックします(画面4)。
「マーケットプレース管理者」のロールが割り当てられたユーザーでAzureポータルにサインインすると、「マーケットプレースの管理」の「作業の開始」ボタンがクリックできるようになります。この「作業の開始」ボタンをクリックすると、空のプライベートマーケットプレースを作成できます(画面5)。
空のマーケットプレースを作成できたら「項目の追加」をクリックして、Azure Marketplaceから承認するオファーを追加していきます。最後に「プライベートMarketplaceを有効にする」をクリックして、プライベートマーケットプレースを有効化します(画面6)。
プライベートマーケットプレースを有効化すると、それ以降、一般ユーザーはAzure MarketplaceのMicrosoftのオファーと、プライベートマーケットプレースで承認されたオファーのみを購入、デプロイできるように制限されます。
従業員がプライベートマーケットプレース以外のオファーをリクエストフォームで要求した場合は、プライベートマーケットプレースの「通知」に要求が届くので、「承認する」または「拒否」を選択して処理します(画面7)。「承認する」を選択した場合、プライベートマーケットプレースに承認したアプリの項目が追加されます。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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