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4月になればEdgeは……2021年4月、レガシーな「Microsoft Edge」に永遠のお別れをその知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(181)

Windows 10に標準搭載されているEdgeHTML版の「Microsoft Edge」は、Chromium版のMicrosoft Edgeへの移行が進み、2021年3月9日(米国時間)にライフサイクルを終了しました。既に新しいEdgeに移行を済ませている場合でも、レガシーEdgeが消えたわけではありません。それは2021年4月に予定されていることです。

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Windowsにまつわる都市伝説

2021年4月のセキュリティ更新でレガシーEdgeは完全削除

 Microsoftは、2020年1月にChromium版「Microsoft Edge」(以下、新しいEdge)の安定版(Stable)の一般提供を開始後、手動ダウンロードとインストール、Windows Updateによる自動配布などを通じて、「Windows 10」標準のEdgeHTML版Microsoft Edge(以下、レガシーEdge)を新しいEdgeに段階的に移行してきました。そして、Windows 10 バージョン20H2(October 2020 Update)で、新しいEdgeをWindows 10の標準ブラウザに切り替えました。

 レガシーEdgeのサポートライフサイクルは「2021年3月9日」をもって終了し、その日(日本では3月10日)に提供される更新プログラムを最後に、レガシーEdgeに対するセキュリティ更新は提供されなくなります。

 導入方法に関係なく新しいEdgeに移行したとしても、レガシーEdgeのコンポーネントは引き続きWindows 10の一部として存在します。単に、ユーザーから隠され、実行できない状態(併存利用する方法もありますが)になっているだけです。

 Windows PowerShellを開き、以下の「Get-AppxPackage」コマンドレットを実行してみてください。UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリであるレガシーEdge(Microsoft.MicrosoftEdge、バージョン44)と、デスクトップアプリである新しいEdge(Microsoft.MicrosoftEdge.Stable、本稿執筆時点ではバージョン88)の存在を確認できるはずです。

Get-AppxPackage -Name Microsoft.MicrosoftEdge.*

 Microsoftは、2021年2月の定例セキュリティ更新の翌日に、レガシーEdgeのコンポーネントを削除するスケジュールを発表しました。レガシーEdgeはサポート終了の翌月、2021年4月の定例セキュリティ更新(日本では4月14日)に含める形で、セキュリティ更新の提供対象であるサポート期間中のWindows 10から完全に削除されるそうです。

 もし、まだ新しいEdgeに移行していない場合は、そのタイミングでインストールされるようです。Windows 10 バージョン1809以降は2021年3月後半に提供される累積更新プログラムのプレビューで先行的に行われます。

Windows 10 バージョン20H2も実はレガシーEdgeをビルトイン

 Windows 10 バージョン20H2の標準のブラウザは新しいEdgeですが、Windows 10の旧バージョンからアップグレードしたとき、あるいは新規インストール時にセットアップの中で新しいEdgeがインストールされます(既に移行済みのWindows 10をアップグレードする場合は除く)。ただし、Windows 10 バージョン20H2では、まだレガシーEdgeが削除されているわけではありません(画面1)。

画面1
画面1 新しいEdgeを標準搭載するWindows 10 バージョン20H2にも、実はレガシーEdgeが搭載されている

 無効化されているレガシーEdgeは、新しいEdgeをアンインストールすれば利用可能になります。ただし、Windows 10 バージョン1909以前は「プログラムのアンインストールまたは変更」コントロールパネル(appwiz.cpl)からアンインストールできるのですが、Windows 10 バージョン2004/20H2の場合は「アンインストール」オプションが提供されません。「変更」をクリックしても、アンインストールすることはできません。

Windows 10 バージョン20H2から新しいEdgeをアンインストールするには……

 Windows 10 バージョン20H2から新しいEdgeをアンインストールできないわけではありません。以下のダウンロードページから新しいEdgeのWindowsインストーラーパッケージ(.msi)をダウンロードし、「msiexec /uninstall MSIパッケージ名.msi」コマンドを管理者として実行すればアンインストールできます(画面2)。

画面2
画面2 Windows 10 バージョン20H2から新しいEdgeをアンインストールすると、バージョン20H2でもレガシーEdgeを利用できるようになる

キオスクモードのEdgeはどうなるの?

 UWPアプリであるレガシーEdgeは、Windows 10の「キオスクモード(割り当てられたアクセス)」のアプリとして割り当て、Windows 10を制限されたブラウジング専用端末にすることができます。新しいEdgeはデスクトップアプリであり、少なくとも現行バージョン(本稿執筆時点はバージョン88)はキオスクモードのアプリとして割り当てることはできません。

 レガシーEdgeをキオスクモードとして利用している場合、Windows UpdateやWindows 10 バージョン20H2による新しいEdgeへの移行には注意が必要です。筆者が確認した限り、レガシーEdgeがまだ削除されていない現時点では、キオスクモードでレガシーEdgeを割り当てることは可能ですが、キオスクユーザーでサインインするとエラー「0xffffffff」が発生してアプリの開始に失敗します(画面3)。

画面3
画面3 新しいEdgeに移行すると、キオスクモードのレガシーEdgeはエラー「0xffffffff」で開始できなくなる

 この問題を回避する方法は、新しいEdgeをアンインストールしてレガシーEdgeの環境に戻すことです。しかし、2021年4月になればレガシーEdgeは削除され、新しいEdgeが再びインストールされることになります。

 別の方法としては、Microsoftが提供するUWPアプリ「Kiosk Browser」をキオスクユーザーの環境にインストールすることです(画面4)。

画面4
画面4 Kiosk Browserで代替することで、新しいEdgeに移行後もキオスクモードで制限されたブラウザ環境を提供できるが、つかの間の延命にしかならない

 Kiosk BrowserはMicrosoft Storeから無料で入手できる、レガシーEdgeコンポーネントを使用するキオスク端末向けブラウザです。新しいEdgeに移行後も、Kiosk BrowserであればレガシーEdgeのエンジンで動作しました。ただし、2021年4月にレガシーEdgeのコンポーネントが削除された時点でKiosk Browserは正常に機能しなくなると思われます。いずれにしろ、どちらの方法もつかの間の時間稼ぎにしかなりません。

最新情報(2021年3月26日追記)

 一部のWindowsバージョンについては、2021年3月のオプションの更新プログラム「累積更新プログラムのプレビュー」(Cリリース)でレガシーEdgeの削除とChromium版Edgeへの置き換えが先行的に行われました。なお、EdgeHTMLの使用は引き続きサポートされ、Kiosk Browserは置き換え後も機能することを確認しました。

 また、Chromium版Edgeの割り当てられたアクセスのキオスクモード設定については、Windows 10 バージョン1909以降において、2021年2月の累積更新プログラムのプレビュー(Cリリース)以降でサポートされました。

ATL
▲2021年2月の累積更新プログラムのプレビュー(Cリリース)以降、Chromium版Edgeのキオスクモードに対応

 キオスクモードのことをMicrosoftは忘れているのだろうか……と、筆者がこのような試行錯誤を繰り返していたのですが、Microsoftは2021年2月初めに、レガシーEdgeのサポート終了後のキオスクモードについて情報提供をしていました。新しいEdgeのメジャーバージョン90以降で、割り当てられたアクセスのキオスクモードに対応するようです。

 2021年3月初めにリリースされたメジャーバージョン89では、Edge自身にキオスクモードが初めて搭載されましたが、これはWindows 10のキオスクモード(割り当てられたアクセス)で動作するものではありません。Kiosk Browserの後継は、「Windows 10 Insider Preview」と「Edge Betaチャネル」でプレビュー中のようです。

 レガシーEdgeでキオスクモードを利用している場合は、Edge Betaチャネルでテストし、4月のレガシーEdge削除に備える必要があるでしょう。このギリギリのスケジュール感、キオスクモードを利用している企業には酷ですよね。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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