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「顔認証に適用すると最大20倍の高速化が可能」 NECが時系列データを高速分析するAI技術を開発:「早押しクイズ」をするときの脳活動がヒントに
NECは、高い精度を維持しながら時系列データを高速にリアルタイム分析するAI技術を開発した。「早押しクイズ」のような、複雑な意思決定を行う際に見られる脳活動の知見を応用した。顔認証に適用すると、最大20倍の高速化が可能だという。
NECは2021年5月6日、高い精度を維持しながら時系列データを高速にリアルタイム分析するAI(人工知能)技術を開発したと発表した。顔認証に適用すると、既存の手法と同等の精度を維持しながら最大20倍の高速化が可能だという。
「早押しクイズ」を連想するアルゴリズム
顔認証で用いられるAIの多くは、あらかじめ設定した量のデータを全て取得して分析するため、時間がかかっていた。今回NECが開発したAIはデータを取得しながら分析し、所望の信頼度が得られたタイミングでデータ収集を打ち切るため、認証や検知の処理を高速化できる。
この手法は「逐次確率比検定」(Sequential Probability Ratio Test:SPRT)と呼ばれ、製造分野の品質管理で利用されていたが、必要となるデータの前提条件が厳しく、幅広い領域に適用することが困難だった。そこでNECは「複雑な意思決定をする際の脳活動」を応用したアルゴリズム「SPRT-based algorithm that Treat As Nth-Order Markov Series」(SPRT-TANDEM)を開発した。
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