2021年第1四半期の世界クラウドインフラサービス市場、2020年同期比37%増の395億ドルに:AWS、Microsoftに続くのは?
Synergy Research Groupによると、2021年第1四半期(1〜3月期)における世界の企業のクラウドインフラサービス(IaaS、PaaS、ホステッドプライベートクラウドサービス)支出は、390億ドルを超え、2020年同期比37%増となった。同社は上位12社の動向についても分析している。
市場調査会社のSynergy Research Groupは2021年4月29日(米国時間)、クラウドインフラサービスの市場規模と各プロバイダーの優位性について発表した。
クラウドプロバイダー各社が発表した2021年第1四半期(1〜3月)の決算報告も踏まえ、第1四半期の世界クラウドインフラサービス売上高を395億ドルと推計した。2020年第4四半期比で20億ドル以上増加し、2020年同期比では37%の増加となった。このペースでいけば、2021年の年間売上高は1400億ドルに達する見通しだ。
パブリックIaaSとPaaSはクラウドインフラサービス全体の大部分を占めており、2021年第1四半期には、売上高が39%の伸びを示したという。同社の市場調査の定義では、クラウドインフラサービスにIaaSやPaaS、ホステッドプライベートクラウドサービスを含む。
Synergy Research Groupはクラウドインフラサービス市場の注目すべき動きとして、2021年第1四半期まで3四半期連続で成長率が上昇したことを挙げている。これはこのような巨大な高成長市場では珍しいことだと指摘した。
ベンダー別の動きはどうなっている
今回の発表ではクラウドインフラサービス市場の上位12社の動向にも触れている。
ベンダー別では市場首位のAmazon Web Services(AWS)をMicrosoftが少しずつ追い上げており、2021年第1四半期時点の市場シェアの差は、2020年の同四半期と比べて2ポイント縮まったという。
第1四半期にはこの大手2社の合計シェアが引き続き5割を超えている。上位12社のうち、売上高の成長率が市場全体の成長率を上回ったのは、AWSとMicrosoft以外ではAlibaba、Google、Tencent、Baiduの4社だった。
クラウドプロバイダーの競争状況 Synergy Research Groupはクラウドプロバイダーを3種類に分類した。マーケットリーダーの2社と成長率が高くマーケットシェアを伸ばしている4社、ニッチ市場に強みを持つ6社だ。縦軸は年成長率(横方向の点線は市場全体の成長率)、横軸は全世界の市場シェア(出典:Synergy Research Group)
上位12社にはこの他、IBMとSalesforce.com、Oracle、NTT、SAP、富士通が名を連ねている。いずれも最大手クラスのクラウドプロバイダーと比べると、特定分野にある程度特化し、市場でニッチな地位を占めているという。
パブリッククラウドでは大手プロバイダーの優勢がより顕著で、上位5社の合計シェアが80%を占めている。地域別に見ると、世界のどの地域もクラウド市場は順調に伸びている。
「AWSとMicrosoftが市場リーダーの地位を獲得しているのは、クラウドサービスの成長を積極的に推進しているからだ。四半期ごとに数十億ドルを投資して、データセンターのグローバル展開を進めるとともに、クラウドサービスポートフォリオを拡充している」と、Synergy Research Groupの主席アナリスト、ジョン・ディンスデール氏は述べている。
「両社は競争優位を確立しているが、他の企業には良い機会がないということではない。AWSとMicrosoftの市場を除いても、四半期の市場規模は180億ドルを超えており、2020年同期比30%以上のペースで拡大していく見込みだからだ。クラウドプロバイダーは特定の地域、サービス、ユーザー層にフォーカスして、数年にわたって急成長を狙える」(ディンスデール氏)
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