「2022年は一時的にテレワーク導入企業が減少する」 IDCが2025年までの国内テレワーク市場を予測:ワクチン接種によるコロナ禍収束を見込む
IDC Japanは、国内テレワーク市場について2025年までの予測を発表した。2020年の国内テレワーク導入企業は対前年比で99万社増え、161万社。テレワーカーは897万人増え、997万人と大幅に増加した。
IDC Japan(以下、IDC)は2021年5月11日、国内テレワーク市場について2025年までの予測を発表した。ワクチン接種によって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束することで2022年にはテレワーク導入企業およびテレワーカーが減少するとIDCはみている。
一部の企業では2021年でテレワークを廃止する動きがある
2020年は、COVID-19の感染拡大防止に向けて、政府や自治体がテレワークを使った勤務体系を要請したことなどから、テレワーク導入企業やテレワーカーの数が大幅に増加した。IDCによると、2020年にテレワークを導入した企業は2019年から99万社増え、161万社。テレワーク実施率は2019年から26.3ポイント増え、42.6%。テレワーカーも2019年から897万人増え、997万人に大幅に増加したという。
ただし、2021年は一部の企業でテレワークを廃止または縮小する動きが出ているとIDCは言う。
「廃止を検討する理由は2つある。1つはCOVID-19への対応方法がある程度理解できたこと。もう1つは経済活動を進めなければいけないということだ。COVID-19の収束後には中堅中小企業(従業員数1000人未満)の10.5%と大企業の7.7%がテレワークの廃止を考えている。テレワークを適用する従業員の範囲を縮小する企業もあり、その割合は中堅中小企業では41.1%、大企業では42.9%に及ぶ」
こうしたことからIDCは、ワクチン接種によってCOVID-19が収束するとみられる2022年にはテレワーク導入企業とテレワーカーが減少すると予測する。
テレワークの有効活用を模索する企業が増える
だが、その減少は一時的なもので、2023年以降は徐々にテレワーク実施企業が増える見込みだ。
IDCは「多彩な働き方に対応できることに加え、経費を軽減できるといったテレワークの利点と、社員間のコミュニケーションがとりにくいといった課題への解決を模索する企業が増える」と推測する。
IDC Japanでシニアマーケットアナリストを務める浅野浩寿氏(PC、携帯端末&クライアントソリューション)は次のように述べている。
「2020年は外出制限によって、国内テレワーク導入企業が大幅に増加した。短期間でテレワーク体制を整えた企業が多く、十分にITを活用できないまま、テレワークを廃止または縮小する企業もある。今後テレワークの有効的な活用方法に関するコンサルティングがより重要になる」
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