課題は作業環境の整備、アスクルがテレワークの実態調査:制度の定着率が上がらない
アスクルは「テレワークの活用における実施率や導入に伴う課題」に関する調査の結果を発表した。2021年4月時点のテレワーク制度の導入率は34.3%だった。テレワークの課題として「社内コミュニケーションの取りづらさ」を挙げる人が増えているという。
アスクルは2021年5月14日、「テレワークの活用における実施率や導入に伴う課題」に関する調査の結果を発表した。
調査対象は、同社の事業所向けサービス「ASKUL」に登録している事業所に勤務する人で、4070人から有効回答を得た。今回の調査によると、テレワーク制度の導入率は34.3%だが、恒久的な制度とする企業の割合は24.0%で、テレワーク制度はまだ定着しているとはいえない状況だった。
今回の調査でテレワーク制度を導入していると回答した割合は、同社の前回の調査(2020年5月)から1.9ポイント減少の34.3%。
従業員数別では、従業員数が多いほどテレワーク制度の導入率が高くなる傾向が見られた。例えば、従業員数が5〜9人の企業では23.0%、同50〜99人では40.1%なのに対して、500人以上では86.8%と急増する。
業種別では、「IT・情報・通信サービス」の導入率が83.2%で最も高く、次いで「放送・報道・広告・調査」が75.8%だった。都道府県別では、東京都が57.3%で最も高く、次いで神奈川県が41.8%だった。
テレワークはまだ恒久的な制度になっていない
次に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としてテレワーク制度を導入した企業に、テレワーク制度の実施期間を聞いた。
「恒久的な制度にする予定」と回答した割合は24.0%、「時限的な制度にする予定」は34.0%、「未定」は42.1%だった。前回の調査と比べると、「恒久的な制度にする予定」の割合が10ポイント以上増えているものの、アスクルでは、新型コロナウイルス感染症が一向に収束しない中で、制度の恒久化にはまだ時間がかかると推測している。
新型コロナウイルス感染症を契機にテレワーク制度を導入する企業は増えたが、テレワークの利用率はまだ低いようだ。今回のアンケートへの回答者に、実際にテレワーク制度を利用しているかどうかを聞くと、利用率は回答者全体の17.9%、テレワーク制度が導入されている企業に限ると52.2%だった。前回の調査と比べると、制度の導入率はほぼ変わらない中で制度の利用率は減っていた。
テレワーク制度の利用頻度を見ると、前回調査よりも下がっている。前回調査では週5日(勤務日全て)が25.4%で最も高かったが、今回調査では週2日が20.3%で最も高かった。
机やいす、ネットワーク回線に課題あり
テレワーク時の課題について回答を求めたところ、「机やいす、ネットワーク回線など、作業環境の整備」と回答した人の割合が最も高く54.5%(複数回答)を占めた。次いで、「ペーパーレス化の推進(電子印鑑の導入など)」が50.6%と5割を超えた。
以下、「パソコンなどハードウェアのスペック」が48.5%、「情報セキュリティ対策」が46.5%、「作業の専用スペースの確保、整備」が45.7%だった。「社内関係者のテレワークに対する理解」(28.7%)や「家族など、同居人の理解」(25.0%)、「上司・同僚の理解」(21.3%)といった人間関係に関する課題を挙げる声も少なからずあった。
中でも「社内コミュニケーションの取りづらさ」(37.6%)と「社内関係者のテレワークに対する理解」は、前回の調査から順位と数値のどちらも上昇しており、アスクルではテレワークでの課題が顕在化してきたと推測している。
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