オンラインコミュニティーの中心メンバーの役割は「質の向上」。周辺メンバーの役割は? 東京大学:GitHubなどを分析して判明
東京大学大学院総合文化研究科の楊鯤昊氏らの研究チームは、オンラインコミュニティーの参加者がネットワーク内での立ち位置に応じて異なる役割を担い、創作物の量と質に対して異なる影響を与えていることを明らかにした。
東京大学大学院総合文化研究科の大学院生である楊鯤昊氏と同教授を務める植田一博氏らの研究チームは2021年6月8日、オンラインコミュニティーの「共創」(オンラインで協力し、創作活動を行うこと)の分析結果を発表した。それによると、オンラインコミュニティーの参加者は立ち位置に応じて異なる役割を担っており、創作物の「量」と「質」に対して役割に応じた異なる影響を与えていることが分かった。
オリジナルを製作する周辺メンバー、質を高める中心メンバー
研究チームが分析対象としたオンラインコミュニティーは「SCP-Wiki」「GitHub」「Idea Storm」の3つ。オンラインコミュニティーの参加者間の共創関係をネットワーク(共創ネットワーク)として可視化し、その中心にいる参加者を「中心メンバー」、周辺にいる参加者を「周辺メンバー」と分類した。
参加者間の共創関係を分析したところ、主に周辺メンバーがオリジナルな内容を創造する役割を担っており、創作物の量を増やすことに貢献していることが分かった。これに対して共創ネットワークの中心メンバーは、主に他者が創造した内容を修正する役割を担い、創作物の質を高めることに貢献していることが分かった。
研究チームによると、参加者の「共創ネットワーク内の立ち位置」によって重要性が異なることは知られていたが、異なる役割を果たしていることを明らかにしたのはこれが初めてだという。研究チームは「創作物の量と質の両方について高い成果を得るには、中心メンバーと周辺メンバーの間の共創行動が重要な鍵を握っており、このことは実社会での組織づくりにも役立つ」としている。
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