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データドリブンな組織の構築にエンタープライズアーキテクチャが果たす役割Gartner Insights Pickup(215)

エンタープライズアーキテクチャ(EA)とテクノロジーイノベーション(TI)のリーダーは、全社的な視点からビジネスの戦略的優先事項に対応したデータのニーズを把握することで、データドリブンな組織の構築に重要な役割を果たせる。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 データとアナリティクス(D&A)への組織の需要が高まっている。だが、多くのエンタープライズアーキテクチャ(EA)とテクノロジーイノベーション(TI)のリーダーは、ビジネスの優先事項と関係のないデータ管理プログラムに注力している。これらのリーダーはむしろ、その立場ならではの全社的な視点から、ビジネス成果の向上に必要なデータを意思決定者が入手できるようにする必要がある。

 GartnerのEnterprise Architecture Researchチームは最近行った調査のレポートで次のように述べている。「2021年に、CIO(最高情報責任者)の58%がビジネスインテリジェンスやD&Aの取り組みへの投資を増やす予定だ。EAリーダーにとっては、データ活用の取り組みにおけるさまざまな意思決定の指針となる全社的な視点を提供するチャンスだ」

エンタープライズアーキテクチャリーダーは独自の視点をどのように生かせるか

 EAリーダーは職務上の有利な立場を生かすことで、需要が高く、大きな可能性を持つD&Aの活用機会を見極めて捉えることが可能だ。例えばEAリーダーは、以下のようなユニークな立場にある。

  • サイロの中で仕事をしている人には分からない全社的なデータ活用機会を特定する
  • エンドツーエンドのデータフローを理解し、その最適化を図る
  • デジタル戦略とビジネス戦略の整合性を確保し、現在と将来のデータニーズへの対応を図る

 これらのことができる強みを生かせば、組織のD&Aの目標達成に重要で、組織のビジネス価値を高める実用的なアプリケーションを構築できる。

 EAリーダーは4つの方法により、EAリーダーならではの全社的な視点をデータドリブンな組織の構築に役立てられる。

1.全社的な視点からデータの現状を把握する

 EAは、サイロを越えて、エンドツーエンドのジャーニーマップで特定される部門横断的なデータ統合ニーズへの対処を可能にする。システム間でデータが適切に統合されていないとデータが冗長になる。ジャーニーマップでは、こうした課題が簡単に見つかる。組織は、ジャーニーマップを使うことでデータを改善する機会を包括的に把握できる。

 例えば、ある大学はジャーニーマップを使って、入学手続きの際に新入生が求められる冗長な情報を見つけた。EAチームは統合の機会を特定し、新入生のためにこの手続きを最適化した。

 欧州のある大手小売りチェーンのEAチームは、D&Aスタッフと協力し、データジャーニーマッピングによってデータ改善の機会を明確にし、定量化することによって、D&Aの取り組みの範囲と対象を適切に設定するだろう。こうした取り組みは、ユーザーの行動と購入パターンに関する部門横断的な理解を促進し、ユーザーエクスペリエンスの価値を高める。

 例えば、ユーザーが受け取る販売促進メールを、購入履歴に基づいてパーソナライズされたメールにできる。同様に、ユーザーがこの企業のWebサイトを訪問して注文すると、カスタマイズされた購入リストが自動的に生成される。

2.データ分析プロセスを改善し、スケーリングする

 データ分析や意思決定がうまくいかない場合は、データ管理プラクティスを最適化するだけでは不十分だ。データ品質を高めるだけでは、売り上げ拡大やコスト削減、アジリティ向上を実現することはできない。

 EAリーダーは、組織におけるデータ分析ツールおよびテクノロジーの利用方法を改善することで、組織が適切な情報に基づいてビジネスの意思決定を後押しできる。

 EAリーダーは、次のような問いへの対処を通じて現状を改善できる。

  • 分析する時間があるかないか
  • データドリブンな意思決定にはどれだけのステップが必要か
  • ツールは最適な分析に必要な機能を提供するかどうか
  • ツールはユーザーフレンドリーか。実験を促進するか
  • 関係者は分析データにアクセスできるかどうか

(出所:Gartner 専門的役割を担うチーム間の説明責任共有モデル)

3.データ改善のための役割と責任を定義する

 EAおよびD&Aチームの責任は、ビジネスモデルによって決まる。だが、全員の役割と責任を明確に定義するとともに、より良い意思決定のために、成果と成功施策の共有を推進することが不可欠だ。これによってコラボレーションが促進され、責任の重複を防げる。

 例えば、情報アーキテクトは、情報アーキテクチャに関する責任を果たす以外にも、統合やシステム機能のような分野でITデリバリーチームと協力できる。同様に、データサイエンスのスタッフは、データ分析モデルに責任を持つかもしれないが、ビジネスリーダーとの協力により、こうしたモデルが答えを出せる重要な問題を特定できる。また、情報アーキテクトとチームを組んで、適切なデータが適切な場所に置かれるようにすることが可能だ。

4.ビジネスに関連する分析を促進する

 ビジネス課題を解決するには、投資に見合った価値を提供する、定量化可能で文脈に即した行動につながる洞察が必要になる。こうした洞察を生み出すには、D&Aのケイパビリティを再構築するだけでなく、分析ノウハウとビジネスセンスを結集する必要もある。

 EAグループはD&Aチームおよびビジネスリーダーと連携を取り、データによって答えを出せる重要な問題を特定し、その問題に答えを出すために必要かつ利用可能な情報を見極められる。

 EAリーダーはこうしたパートナーとの対話を通じて、一般的なデータ品質の問題(正確さ、タイムリーさなど)と、明らかになりにくい問題の両方に対処できる。例えば、データが良質なのにあまり活用されていない――といった問題だ。こうして、EAグループやD&Aチーム、ビジネスリーダーの重要なコラボレーションが、組織におけるデータドリブンな意思決定を継続的に後押ししていく。

出典:Enterprise Architecture’s Role in Building a Data-Driven Organization(Smarter with Gartner)

筆者 Ashutosh Gupta

Content Marketing Specialist


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