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SI系企業で働くエンジニアが年収を上げるためにすべきこと受け身でいては幸せになれない(2/3 ページ)

複雑怪奇なIT“業界”を解説する本連載。今回のテーマも年収です。構造的に、人をリスクと捉え、育てる環境がないIT業界。では、その中でエンジニアはどうやってキャリアを切り開いていけばいいのでしょうか。

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スキルと年収は相関する

 では、スキルがあれば高い年収が得られるのでしょうか。

 経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、レベル3で576万円、レベル4で726万円、レベル5で937万円、レベル4からエンジニアの平均年収を抜いて一気に高くなります。

 レベルとは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が定める「ITスキル標準」(ITSS)が定める7段階の指標です。レベル3はミドルクラスで、対応する国家資格は応用情報技術者試験、レベル4はハイクラスで、ITストラテジストやシステムアーキテクトなどの高度情報処理技術者試験が対応しています。

 ITSSは、自分がいまどのレベルにいて、次にどのレベルを目指すべきか参考になりますし、いま働いている環境が次を目指せる場所なのかを冷静に判断する物差しの一つになると思います。資格を取得するかどうかではなく、そこで求められている知識や知見がどういうものか知るだけでも、今後のエンジニア人生の役に立ちます。何かの物差しを持たずにキャリアを考えるのは、カーナビもない車で旅行するようなものです。

 エンジニアとは、技術力によって企業や人々の課題解決を実行する人のことです。スキルによって支えられている職業であり、スキルがなければただの人です。

 では、RailsやPythonにちょっと詳しければハイスキルといえるかというと、そうではありません。スキルとは、プログラミングだけではなく、システムをどう利用して人々の役に立てるのか、ITプロジェクトを主導するアーキテクチャやプロジェクト管理などの知見を含めた、ITエンジニアとしての本質的な能力を指します。Ruby on Railsが少しできるようになれば高収入といった話に惑わされる、本質的なスキルが伸びないのが分かっていながら苦しい環境を耐えることを求められて精神的に追い詰められる、といった悲劇が起こらないように、正しい基準を持つことが大切です。

 40代、50代になると技術スペシャリスト、ITコンサルタント、CTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)とさまざまな可能性がエンジニアにはあるので、20代では将来像に合わせて自分の成果を出せる「環境を選ぶ能力」を身に付けてほしいと思います。スキルを伸ばしていける会社であればそのまま在籍すればいいし、社内ローカルや業界ローカルなことが身に付くばかりで、その先にあまり良い未来がないのであれば、転職や、将来はフリーランスエンジニア、フリーランスコンサルタントを視野に入れることも環境を選ぶ手段の一つです。

スキルと年収を上げるための「良い環境」とは

 ここまで、市場価値のあるスキルが会社に認められ、報酬として反映され、さらにスキルを伸ばしていくサポートが整っている環境を手に入れることがエンジニアにとって重要であることをみてきました。では、そうした理想的な環境を持つ会社をどうすれば見極められるのでしょうか。その基準を3つ挙げます。

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