セッションごとのtempdbのページ使用量に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(31)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、セッションごとの「tempdb」のページ使用量に関する情報の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_db_session_space_usage」における、セッションごとの「tempdb」のページ使用量に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2008以降です。
概要
SQL Serverではデータの挿入や削除に加え、処理で使用する一時的なデータの保存のためなどにも、必要に応じてページが割り当てられます。
「sys.dm_db_session_space_usage」では、セッションごとに使用されたページ使用量に関する情報を確認できます。ただし、「sys.dm_db_session_space_usage」にデータベースIDを確認できる列がありますが、現在は「tempdb」である「データベースID = 2」の情報しか出力されません。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
session_id | smallint | セッションID |
database_id | smallint | データベースID |
user_objects_alloc_page_count | bigint | セッションで、ユーザーオブジェクトに予約された、または割り当てられたページの数 |
user_objects_dealloc_page_count | bigint | セッションで、ユーザーオブジェクトへの割り当てが解除され、予約されなくなったページの数 |
internal_objects_alloc_page_count | bigint | セッションで、内部オブジェクトに予約された、または割り当てられたページの数 |
internal_objects_dealloc_page_count | bigint | セッションで、内部オブジェクトへの割り当てが解除され、予約されなくなったページの数 |
user_objects_deferred_dealloc_page_count | bigint | 遅延割り当て解除のマークがされているページ数 |
pdw_node_id | Int | ノードID Azure SQL Data WarehouseとParallel Data Warehouseのみで有効 |
動作例
SQL Serverへ接続し、データの挿入や削除、参照を実施してから、自身の結果を表示するために「session_id」に「@@SPID」を指定して「sys.dm_db_session_space_usage」を実行しました(図1)。
ユーザーオブジェクト用に24ページ割り当てられましたが、8ページは割り当てが解除されています。内部オブジェクト用には4000ページが割り当てられており、その全ての割り当てが解除されています。セッションが残っている限りは、実行されたタスクが完了したタイミングで数値が累積されます。
ユーザーオブジェクトには、ユーザーが作成したテーブルだけではなく、システムテーブルや一時テーブルなどのテーブルやインデックス、またテーブル変数などが含まれます。ただし、前述したようにユーザーデータベースの情報は出力されないため、「tempdb」に対する操作のみとなります。内部オブジェクトには、カーソルやスプール操作で使用された作業テーブルや一時的なラージオブジェクト領域、ハッシュ結合の作業ファイルやソート処理などが含まれます。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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