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トレンドの評価をしていない経営陣は重要な動きを見逃す Gartner:「企業経営者が評価すべき7つの分野」とは
Gartnerは「効果的な戦略計画を立てるために評価すべき7つのトレンド」についての見解を発表した。将来の売り上げ成長に向けた戦略計画の策定には7分野のトレンドに関する評価が重要だという。
Gartnerは2021年8月26日(米国時間)、企業の経営層に対して「効果的な戦略計画を立てるために評価すべき7つのトレンド」についての見解を発表した。
Gartnerは「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行に伴い、多くの長期計画が棚上げされたが、企業の経営層は将来の売り上げ成長に向けて、戦略計画を策定すべき時期に来ている。そのためには、7つの分野のトレンドを評価する必要がある」と指摘する。
経営者が注目すべき「TPESTRE」とは何か
同社が指摘する7つの分野は以下の通り。
- 技術(Technological)
- 政治(Political)
- 経済(Economical)
- 社会/文化(Social/Cultural)
- 信頼/倫理(Trust/Ethics)
- 規制/法令(Regulatory/Legal)
- 環境(Environmental)
Gartnerはこの7分野を、各英単語の頭文字をつなげて「TPESTRE」と総称している(“タペストリー”と発音。これは“Tapestry”<つづれ織り>をイメージしている)。各分野の注目すべきトレンドは以下の通り。
技術(技術変化の進展、インパクト、ディスラプション)
- 「人間の体験」の拡張
- 場所を問わずにできるオペレーション
- プライバシーを強化するコンピュテーション
政治(政治環境をシフトさせる姿勢、制度、法制)
- テクノナショナリズム(技術を他国に公開しないようにすること)
- 宇宙経済
- 偽情報への対応
経済(企業と政府に影響する経済環境のさまざまな要因)
- 不確実性の高い成長
- 世界の経済的な力関係の流動化
- デジタル経済の台頭
社会/文化(個人と社会集団の姿勢、行動、ライフスタイル)
- 労働人口の推移
- 仕事の再定義
- 生活の中で生まれる新しい制度
信頼/倫理(人々や企業の間、社会への倫理的な期待、行動、責務、バイアス)
- 目的ドリブン型の組織
- 制度への信頼の変化
- デジタル社会におけるコンテキストのプライバシー
規制/法令(法律と政策の変化。特定の行動に対する報酬と罰則)
- 規制のローカライゼーションと多極的世界
- AIのガバナンス、法律、市場の未来
- 企業のサステナビリティに対する重点的な規制
環境(環境の保護とサステナビリティをサポートするさまざまな変化)
- デジタルに対応したサステナビリティ
- 脱炭素ブーム
- サステナビリティの変曲点
Gartnerのマーティ・レズニック氏(バイスプレジデント アナリスト)は、次のように述べている。
「企業が今後、成功を収めるには、自社の市場での地位に影響したり、それらを脅かしたりするディスラプション(創造的破壊)を継続的に調査し、対応していかなければならない。適切なトレンドスポッティング(自社に影響する可能性のあるトレンドの把握と評価)をしていない経営陣は、戦略的な前提や事業計画に影響を与える重要な動きを見過ごしてしまうだろう。経営陣は技術だけでなく、さまざまな分野のトレンドと、それらが戦略計画に与える影響を評価すべきだ」
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