Azure Virtual DesktopがAzure ADのみの環境に正式対応:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(158)
Azure Virtual Desktopの環境をAzure ADだけで構築するオプションが正式にサポートされました。
Active DirectoryドメインやAzure ADドメインサービスが不要に
Microsoftは2021年9月22日(米国時間)、「Azure Virtual Desktop」の幾つかの機能アップデートを発表しました。その1つが、Azure Virtual Desktopの仮想マシンをAzure Active Directory(Azure AD)に直接的に参加させるオプションの一般提供開始です。
- Announcing general availability of Azure AD-joined VMs support[英語](Microsoft Azure)
これまで、Azure Virtual Desktop環境を構築するには、オンプレミス(またはAzure仮想ネットワーク上の)のActive Directoryドメイン環境と、Azure Virtual Desktopに関連付いたAzure ADのディレクトリ同期をセットアップするか、Azure ADと統合されたクラウド側の「Azure ADドメインサービス」を利用する必要がありました(画面1)。
![画面1](https://image.itmedia.co.jp/ait/articles/2110/01/vol158_screen01.png)
画面1 これまではAzure Virtual Desktopのために、Azure ADと統合構成されたActive Directoryドメイン、またはAzure ADドメインサービスが必要だった。画面は、Microsoft Learnの「Azure ADとActive Directory Domain Servicesを統合する」(https://docs.microsoft.com/ja-jp/learn/modules/m365-prepare-for-wvd/3-integrate-active-directory)より
新たに正式提供されたAzure AD参加の展開方法を利用すると、Active Directoryドメイン/Azure ADドメインサービスを使用せずに、Azure Virtual Desktop環境を構築できます。また、Azure ADのクラウド側だけでユーザー管理を含めて完結することができます。
なお、Azure AD参加のみの展開は「Windows 10 Enterprise バージョン2004」以降のシングルセッションまたはマルチセッションのホストプール(個人用/プール)でサポートされ、ホストプールの作成ブレードで選択できます(画面2)。
Azure Virtual Desktopをベースとした「Windows 365 Cloud PC」の「Business」プランは既にオンプレミスのActive Directoryドメイン環境なしで利用可能ですが(背後でAzure AD参加を使用)、「Enterprise」プランはオンプレミスのActive Directoryドメイン環境との接続が必須となっています。
Azure Virtual DesktopがAzure AD参加構成を正式にサポートしたことで、近い将来、Windows 365 Cloud PCのEnterpriseプランもオンプレミスのActive Directoryドメイン環境との接続が必須ではなくなることを期待しています。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
2023年3月に「仮想マシン(クラシック)」が終了、Azure Resource Managerにできるだけ早く移行を
Microsoftは、2023年3月1日にMicrosoft AzureのIaaSにおける「仮想マシン(クラシック)」の提供を終了します。まだ2年ありますが、もう2年しかないとも言えます。「仮想マシン(クラシック)」で複雑な環境を運用している場合は、テストや移行に時間を要するかもしれません。速やかに移行の検討を開始した方がよいでしょう。さよならPHP、WindowsでのPHPのサポートが「2022年11月28日」に完全終了
「PHP」は、古くから人気のあるWebアプリのためのスクリプト言語です。当初はLinux上のApache Webサーバと組み合わせて利用されることが多かったものの、Windowsの「IIS」でも古くからサポートされていました。2020年11月26日に最新バージョン「PHP 8.0」がリリースされましたが、Microsoftはこのバージョンをサポートする予定はありません。2021年にサポートが終了するMicrosoft製品まとめ
前回(第90回)は、Windows 10とMicrosoft Office製品について、2021年以降のサポートライフサイクルを再確認しました。今回は視点を変えて、2021年内にサポートが終了するMicrosoftの製品/技術についてまとめます。今使っているWindows/Officeは大丈夫? 2021年以降を見据えて、各バージョンのライフサイクルを再確認
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を大きく受けた2020年も残すところあとわずか。その影響はどうやら2021年も続きそうです。企業はテレワーク導入の推進を求められたこともあって、企業クライアントPCの更新管理やシステム更改に大きな影響を受けたことでしょう。Windows 10とMicrosoft Office製品について、現時点でのサポートライフサイクルを再確認し、2021年以降の計画に生かしましょう。