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並列クエリのワーカーの利用情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(65)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、並列クエリのワーカーの利用情報を出力する方法について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_exec_query_parallel_workers」における、並列クエリのワーカーの利用情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2016以降です。

概要

 SQL Serverでは、クエリを実行する場合に、内部で自動的に複数のスレッドを使用した並列処理を行う場合があります(並列クエリ)。並列クエリでは、SQL Serverは複数のプロセッサを使用して複数の計算やデータ操作を同時に行えますので、並列処理を行わない場合と比較して高速にクエリを実行できる場合があります。

 SQL Serverでは、クエリ実行要求はタスクとしてワーカーに渡され、ワーカーにスレッドが割り当てられて実行されます。ワーカー数の上限は、SQL ServerインスタンスとNUMA(Non-Uniform Memory Access)ノードで決められています。

 並列処理されないクエリの場合、クエリ実行要求に割り当てられるワーカーは1つです。並列クエリの場合には複数のワーカーが使用されるため、並列クエリが多数実行される環境では多くのワーカーが使用され、ワーカー数が不足する場合があります。

 「sys.dm_exec_query_parallel_workers」動的管理ビューを出力することで、NUMAノードに割り当てられたワーカーの使用中の数、未使用の数などの情報を確認できます。

 なお、SQL Serverの設定によって並列処理の並列数の上限を設定することは可能ですが、クエリ実行に並列処理を明示的に指定することはできません。

出力内容

列名 データ型 説明
node_id int NUMAノードID
scheduler_count int このノード上のスケジューラの数
max_worker_count int 並列クエリのワーカーの最大数
reserved_worker_count int 並列クエリによって予約されているワーカーと、全ての要求で使用されるメインのワーカーの数
free_worker_count int タスクで使用可能なワーカーの数
全ての着信要求は、少なくとも1つのワーカーを使用し、使用可能なワーカーの数から差し引かれる
負荷の高いサーバでは、負の数になることがある
used_worker_count int 並列クエリで使用されるワーカーの数

動作例

 検証環境はNUMA環境ではないため、ソフトNUMAを有効にしてSQL Serverを再起動しました(図1)。

図1
図1 エラーログから作成した2つのノードへのCPU割り当てを確認したところ

 まずは、複数の並列処理されないクエリを同時に実行して「sys.dm_exec_query_parallel_workers」動的管理ビューを出力しました(図2)。

図2
図2 クエリを3つのセッションで同時実行中に出力したところ

 並列クエリを実行していないため「used_worker_count」列の値は「0」でした。「reserved_worker_count」列の値は、同時に実行するクエリを増やすたびに「1」増加しました。

 次に、並列クエリを1つのセッションで実行して「sys.dm_exec_query_parallel_workers」動的管理ビューの出力を確認します(図3)。

図3
図3 並列クエリを1つのセッションで実行中に出力したところ

 今度は並列クエリを実行しているため、「used_worker_count」列の値が増加しました。この環境は4CPUですが、「reserved_worker_count」列の値の合計は「4」よりも多く増加しており、実際にはCPUよりも多くのワーカーが使用されていることも確認できました。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 RC1」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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