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デジタルインフラ構築を進めるI&Oリーダーのための4つの予測Gartner Insights Pickup(251)

インフラの自動化を進め、レガシーアプリケーションをモダナイズし、XaaS型コストモデルを検討することで、デジタルトランスフォーメーションを支えることが求められる。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

要約

  • インフラストラクチャの自動化を進めることで、企業はコストの最適化、柔軟性、効率化を実現できるが、それは新しいスキルの育成に成功した場合に限られる
  • クラウドコンピューティングの拡大に伴い、レガシーアプリケーションのモダナイゼーション(近代化)がインフラの標準化に不可欠となる
  • コンピューティングとストレージについて、使用量に応じた支払いモデルを利用する企業が増える

 企業がデジタルトランスフォーメーションを加速させるのに伴い、インフラも変化している。クラウドファーストのアプローチや自動化の進展に伴い、インフラとオペレーション(I&O)のリーダーは、インフラの活用と管理の方法を見直す必要に迫られている。

 「クラウドコンピューティングが成長を続ける中、アプリケーションポートフォリオの多様化とハイブリッド化が進んでいる」。Gartnerのアナリストでディスティングイッシュト バイスプレジデントの、トーマス・ビットマン(Thomas Bittman)氏はそう語る。

 「戦略的なインフラの標準化と近代化、自動化の取り組みが、デジタルトランスフォーメーションの成功に不可欠となるだろう」(ビットマン氏)

 以下では、I&Oリーダーがデジタルインフラプラットフォームの構築を進め、インフラの未来に向けて社内態勢を整えるのに役立つ、Gartnerの4つの予測を紹介する。

予測1:2025年までに、70%の企業が、柔軟性と効率性の向上を目的として、構造化されたインフラストラクチャ自動化を導入する(2021年の20%から増加)

 「 Gartner 2021 I&O Leaders Survey(外部リンク/英語)」によると、回答者の80%がコストを最適化するための最たる戦術として自動化の導入を考えている。だが、多くのI&Oチームがインフラの自動化にどこからどう着手すべきかをなかなか判断できず、それにより二の足を踏む状況や機会損失が生じている。

 インフラの自動化は、継続的な取り組みとして考える必要がある。生産性を高めるための適切な計画と調整が必要だからだ。専任チームを設置することで規模や効率、一貫性を確保できる。自動化を始める際は、まず取り組みに勢いをつけるために、生産性と効率性に重点を置く。定型業務を自動化し、さまざまなチームが実行可能な業務のボリュームを増やすとよい。インフラの自動化がさらに成熟すると、コストの最適化が主な成果として現れるだろう。

予測2:2025年までに、ハイブリッド/マルチクラウド・プラットフォーム全体のインフラストラクチャ自動化スキルを育成する企業は、50%にとどまる(2021年は10%未満)

 自動化の取り組みにおいて、多くのI&O組織が、スキルの育成や役割の定義よりもツール技術の選択に注力している。実際、上記のGartner調査でも、IT I&O組織の最重要課題として、スキルやリソース不足が挙がっている。適切なスキルを持った人材がいなければ、自動化の技術は連携が不十分な、よく分からない“ブラックボックス”となる。

 インフラの自動化に対する考え方を変え、オンプレミスやクラウド、エッジ全体にわたる効率性とアジリティといったビジネス目標を実現するための、さまざまなスキルの育成と役割の定義に注力する必要がある。自動化が期待通りに機能し、重大なエラーを回避し、他の技術を補完するには、自動化を支える設計者とアーキテクトの役割を定義することが不可欠だ。

予測3:2027年までに、クラウド・デリバリーに最適でない/対応していないアプリケーション・ワークロードの割合は、35%になる(2022年の55%から減少)

 現在、全ワークロードの約10%がクラウドネイティブアプリケーションであり、新規開発の大半はクラウドネイティブだ。間もなく、インフラは次のような状態になる。すなわち、ワークロードの約3分の1がクラウドで運用され、3分の1はより複雑だが、クラウドへの移行または移動が可能であり、3分の1はクラウドで運用されない。運用されない理由は、複雑さやパフォーマンス、経済性、または規制上の制約だ。

 I&Oチームはこれらの分類に基づいて、各アプリケーションのインフラでの提供を最適化する必要がある。アプリケーションやワークロードのリフト&シフトは、最適ではない提供形態やコストと複雑性が増大することになる。レガシーアプリケーションの近代化や合理化によってインフラを標準化すれば、より多くのアプリケーションをクラウドでの提供に対応でき、コストを削減できる。

予測4:2025年までに、新規調達されるオンプレミス・ベースのコンピューティングとストレージの40%は、サービス型として利用される(2021年の10%未満から増加)

 クラウドコンピューティングによって、ユーザーは運用コスト(OPEX)として計上されるオンデマンドソリューションの活用を学んできた。こうしたオンデマンドソリューションの多くは、使用量に応じた費用がかかる(従量課金制)。顧客側の考え方や期待の変化に伴い、システムプロバイダーは資本集約型のハードウェア製品を顧客に「サービスとして」提供する資金調達に目を向けるようになった。

 例えば、BMaaS(Bare Metal as a Service:サービスとしてのベアメタル)やEaaS(Edge as a Service:サービスとしてのエッジ)などの新しいインフラサービスは、このモデルに合致している。

 コンピューティングやストレージ、ネットワーキングがサービスとして提供される製品を検討する際は、ハイパースケールクラウドプロバイダーから提供されるサービスと、システムプロバイダーから従量課金制で提供される専用インフラの間で、アジリティやコスト、コントロール、パフォーマンス、ロックインの可能性、ガバナンスにおけるトレードオフを評価する必要がある。

 刷新や再展開が必要だが、パブリッククラウドから提供できないアプリケーションについては、従量課金制の専用インフラを選択し、コストを最適化するとよい。ただし、こうした従量課金制の専用サービスにもパブリッククラウドサービスに適用されるのと同じコスト追跡および分析アプローチを適用することで、想定外のコストを解消または削減する。

出典:4 Predictions for I&O Leaders on the Path to Digital Infrastructure(Gartner)

筆者 Meghan Rimol

Senior Public Relations Specialist


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