サービスメッシュの利用機能や人気プロジェクト/製品、利用課題をCNCFが調査:最大の導入理由はセキュリティ機能
CNCFがサービスメッシュについてのアンケート調査結果を発表した。この調査では、サービスメッシュの利用状況や採用プロジェクト/製品、注目する機能、利用課題などについて聞いている。
Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は2022年5月17日、サービスメッシュについてのアンケート調査結果を発表した。 回答者253人と規模は大きくないものの、サービスメッシュの利用状況や今後の利用予定、注目する機能、使っているプロジェクト/製品、技術的/非技術的な課題などについての傾向を示している。この調査は2021年11月から12月にかけて、CNCFおよびKubernetesのコミュニティー参加者を対象に実施した。
サービスメッシュを現在使っているか
「あなた自身あるいは所属組織ではサービスメッシュを使っていますか?」という質問には、70%が本番利用あるいは 試験運用をしていると答えた。19%は評価中。利用していないという回答は10%に満たなかった。
今後1年間のサービスメッシュ利用規模は
「今後12カ月間に幾つのKubernetesクラスタでサービスメッシュを使う見込みですか?」という質問の回答からは、Kubernetesの展開状況とサービスメッシュの利用が関連していることが分かった。2から10のKubernetesクラスタにサービスメッシュを 適用するとの回答は65%。11から25との回答は11%、26以上は10%だった。
どの機能がサービスメッシュ利用を牽引しているか
サービスメッシュの採用を牽引している機能について聞いた。79%の回答者が、「mTLSなどのセキュリティ機能」と答えた。
これにほぼ並んだのが可観測性(observability:ログ、メトリック、トレースを収集・分析する機能)。「クラウドインフラの重要度と複雑化が進むにつれ、システムの状態を把握する手法としてニーズが高まっている」(調査報告書、以下同)。
第3位はトラフィック管理(62%)だった。「組織がより洗練されたblue/greenデプロイメントシナリオを推進する中、トラフィック管理はエンドポイントとサービスの検出、サービス間のAPI呼び出しの制御、サービスの非表示または公開など、さまざまな機能に適用できる」。
第4位は信頼性(56%)。「 潜在的な問題としては、遅延、帯域幅の不足、セキュリティインシデント、クラウド環境のヘテロジニアスな構成、アーキテクチャやトポロジの変更などがある。回答者は、こうしたネットワーキングとサービス内通信の課題を克服するために、サービスメッシュを求めている」。
どのプロジェクト/製品を利用中か、利用見込みか
15のプロジェクト/製品を選択肢として提示し、この質問をした。最も人気が高かったのはLinkerd(72%)、次はIstio(34%)だった。
マルチクラスタ通信は重要だと思うか
マルチクラスタ通信のサポートについては、87%が重要だと答えた。「37%が『現在は重要でないが今後は重要』と答えたが、こうした回答者はサービスメッシュの導入途中段階やパイロット段階にあるか、本番で比較的シンプルな運用をしていると考えられる」
今後12カ月にどの機能を使う見込みか
今後12カ月に使う機能として最も多かった回答は、A/Bテストやblue/greenデプロイメントに活用できる「ヘッダベースのルーティング制御」(46%)。次に多かったのが「シャドー/ダークトラフィックの検知/管理」(29%)。
「Kubernetes以外の環境への拡張」は27%だった。「Kubernetesがクラウドネイティブの基本構成要素になったとはいえ、この回答は他の環境の存在を強く示している。サービスメッシュによるこうした環境との統合は、ITインフラと管理のサイロをなくしたいという、より大きな期待と整合性がある」。
同様に、「WebAssemblyなどの環境との連携プラグイン」との回答は25%だった。
サービスメッシュ採用における技術以外の課題は?
技術以外の課題のトップ3は、「エンジニアリングノウハウと経験の不足」(47%)、「アーキテクチャや技術の複雑さ」(41%)、指針や青写真、ベストプラクティスの不足(36%)だった。
サービスメッシュ採用における技術的な課題は?
技術的な課題についての回答は多岐にわたった。
主な課題は「ツールやサービスとの統合」(32%)、信頼性と一貫性(26%)、ポリシーの策定(22%)モニタリング/トレーシング(22%)ポリシー管理(21%)。他の回答としては CI/CD統合、トラブルシューティングの難しさ、特定製品に関する問題などがあった。
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