常石造船はなぜ「延命を続けたレガシーシステム」の刷新を“一気に”進められたのか?:わずか2日で調査・再設計を完了、KongとScalarが公表
システムモダナイゼーションの調査と再設計は従来の手法では長期化しがちだが、常石造船ではAI駆動開発を適用することで工数を大幅に削減。調査と再設計の検討は2日間で完了した。どのような手法を採用したのか。
基幹システム刷新においては、調査と再設計の工程だけでも長期化しがちだが、常石造船のプロジェクトではAI駆動開発を適用することで、工数を大幅に削減。調査と再設計の検討は2日間で完了した。同案件を支援したAPI管理ツールベンダーのKongが、2026年6月10日に発表したものだ。
15年超のレガシーシステム刷新をなぜ一気に推進できた?
常石造船の調達システムは、購買・鋼材発注・在庫管理などの業務を支える基幹システムで、15年以上にわたって運用されてきた。システムの複雑化やドキュメント不足により、迅速な変更が困難になりレガシー化していた。従来型のアプローチでは、刷新に向けた調査・分析だけでも多大な工数を要し、投資判断ができない状況が続いていた。
そこで同社では、AI駆動開発を前提とした内製化を進め、システム開発を高速化すると同時に、継続的な機能改善を可能にするシステム基盤(下図)の構築を推進した。
新たなシステム基盤では、統合型API・AIプラットフォーム「Kong Konnect」によるAPI・認証管理と、Scalarの分散データ基盤「ScalarDB」を採用。AIによる解析を基に、ドメイン(業務領域)を再設計し、機能を9つのマイクロサービスに分割。業務ごとにデータや機能を切り分けることで、将来的にAIエージェントやLLM(大規模言語モデル)が、必要な業務コンテキストへ安全かつスムーズにアクセスできる基盤を構築している。
プロジェクトではScalarによる支援の下、リファクタリング(ソースコードの整理・改善)のためのAIエージェントを活用。数千本以上に及ぶ既存プログラムを読み込み、その構造分析や、技術負債の可視化、再設計などを短期間で実施した。これにより、最終移行完了までに要する工数は従来の手法との比較で70%以上削減される見込みだという。
常石造船におけるシステム刷新“3つのポイント”
同プロジェクトでは、従来の蜜結合なレガシーシステムから脱却し、マイクロサービス化によってクラウドネイティブな設計への転換を図っている。常石造船は、システム再構築のポイントとして3点を挙げている。
1点目はKong Konnectの活用によるシステム連携だ。統合的なAPI管理と認証基盤を確立することで、複数のサービス間を安全かつ高速につなぎつつ、システム全体のガバナンス(統制)を確保している。
2点目はマイクロサービス化による、俊敏性と事業継続性の両立だ。システムを機能単位で分割することで、システム停止リスクを抑制。変化に応じて迅速に機能改善ができるようになった。
3点目が、ScalarDBによる既存データ基盤の有効活用だ。ScalarDBをハブとして機能させることで、複数データベース間のデータ整合性を維持し、データの横断的活用を可能にしている。
今後常石造船では、今回の調達システム刷新を起点として周辺システムへの展開も進める。それと同時に、将来的にはAIアシスタントが自然言語で業務支援やデータ活用をできるようにすることも目指すなど、グループ横断ので超調達業務の次世代化を推進するとしている。
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