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3種類の指標で異なる言語ランキング、「雇用主からの需要」でSQLがPythonより高いのはなぜ?PythonやJavaの人気は高いが……

IEEEはプログラミング言語の年次ランキングの最新版「Top Programming Languages 2022」を公開した。総合ランキングではPythonが引き続き首位を占めたが、雇用主からの需要が高い言語のランキングでは、別の言語が選ばれた。

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 IEEE(米国電気電子学会)の「IEEE Spectrum」誌は2022年8月23日(米国時間)、プログラミング言語の年次ランキングの最新版「Top Programming Languages 2022」を公開した。

 今回のランキングでは57種類のプログラミング言語を、8つのソースに基づく9つの指標で評価し、スコア化して集計している。

 各指標に対する重み付けによって次の3種類のランキングを公開した。

・Spectrum 一般的なIEEE会員の興味や関心を反映した総合ランキング

・Jobs 雇用主からの需要が高い言語のランキング(後述する「IEEE Job Site」と「CareerBuilder」の指標のみに基づいている)

・Trending 急成長している言語のランキング(フォーラムやソーシャルメディアの指標が重視される)

3種類のランキングで異なる結果が出た

 Spectrumの上位10位までのランキングは、「Python」「C」「C++」「C#」「Java」「SQL」「JavaScript」「R」「HTML」「TypeScript」だった。


IEEE会員の関心や興味を反映したプログラミング言語の総合ランキング(クリックで10位以降を表示、提供:IEEE Spectrum)

 IEEE Spectrumは、Spectrumランキングの結果について次のようにまとめている。

 「Pythonが引き続きトップに立ったが、C言語がわずかな差で続き、CライクなC++、C#の人気も高い。Javaの人気も根強く、JavaScriptも同様だ。JavaScriptは、WebサイトやWebブラウザ内ツールがますます複雑化していることに後押しされている」

なぜSQLが望まれるのか?

 さらにIEEE Spectrumは、リレーショナルデータベース向けのクエリ言語であるSQLについて、人気の高まりを指摘している。SQLはJobsランキングでは首位を占めている(2021年は10位)。Spectrumランキングでも5位となり、2021年の15位から大きく順位を上げた。

 Jobsの上位10位までのランキングは、SQL、Java、Python、JavaScript、C#、C、C++、HTML、TypeScript、「Scala」だった。


雇用主からの需要が高いプログラミング言語のランキング(クリックで10位以降を表示、提供:IEEE Spectrum)

 「SQLが強いのは雇用主が、何らかの言語とSQLの両方を使いこなせる技術者を求めているからだ。いわば、“プラスSQL”のスキルセットが求められている。これは、今日の多くのアプリケーションでは、フロントエンドやミドルウェア層とバックエンドデータベースが通信するようになっており、多くの場合、ローカルリソースの制約をなくすために、ネットワーク経由で通信が行われるからだろう。SQLは華やかな言語ではないし、次の偉大なアルゴリズムを実装するために使う言語でもないかもしれない。だが、SQLの経験は貴重な武器になる」(IEEE Spectrum)

 NYU Tandon School of Engineeringの教授であり、コンピュータサイエンスとエンジニアリングの学部課程のディレクターであるTorsten Suel氏は、SQL言語の広がりについて次のように語っている。

 「データサイエンスや機械学習がブームになっている。これらの分野に力を入れている学生は、通常SQLを学ぶデータベースコースも受講している。(SQLの需要は)データサイエンスと機械学習のブームの副次的な効果かもしれない」

 Web関連の開発企業Five JarsのCAO(チーフアドバンスメントオフィサー)であるAndrey Maximov氏は次のように語っている。

 「私たちが開発するソフトウェアのほとんどは、リレーショナルデータベースに依存しており、つまりSQLに依存している。開発プロセスでは、要件や仕様を設定する。これはリレーショナルデータベースの概念に非常によく適合している」

 なお、Trendingの上位10位までのランキングは、Python、Java、C、JavaScript、C++、C#、SQL、「PHP」、HTML、「Go」だった。


急成長しているプログラミング言語のランキング(クリックで10位以降を表示、提供:IEEE Spectrum)

 ランキング作成に使われている9つの指標は、次の通りだ。Google検索(ヒット数)、Twitter(ヒット数)、Stack Overflow(質問の投稿数)、Reddit(投稿数)、IEEE Xplore Digital Library(論文数)、IEEE Job Site(求人数)、CareerBuilder(求人数)、GitHub(スター付きリポジトリ数)、GitHub(プルリクエスト数)。

 なお、2021年のランキングは、カスタムランキングの作成が可能なインタラクティブアプリケーションとして公開されているが、今回のランキングは、3種類のランキングの切り替え表示のみが可能となっている。IEEE Spectrumは、カスタムランキング機能の利用者が少なかったためだと説明している。

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