インフラと運用の完全自動化への道 今後3年で急速に進展する理由:「2025年までに企業の70%がインフラを自動化」
Gartnerの最近の調査によると、まだ完全自動化を実現していないインフラとオペレーション(I&O)のリーダーの85%が、今後2〜3年間に自動化を進める考えであることが分かった。
Gartnerは2022年10月3日(米国時間)、同社の最近の調査により、まだ完全自動化を実現していないインフラとオペレーション(I&O)のリーダーの85%が、今後2〜3年間に自動化を進める考えであることが分かったと発表した。
Gartnerは、2025年までに企業の70%が柔軟性と効率性の向上のために、構造化された自動化を実装すると予想している。2021年には、この自動化を実装済みの企業の割合は20%だった。
Gartnerのバイスプレジデントを務めるジヌオ・ジェン氏は、次のように説明する。「自動化はI&Oチームが、デジタルビジネスの要求の増大に対応して拡張するために不可欠だ。I&Oの自動化技術は、市場投入の迅速化、ビジネスアジリティ(俊敏性)の向上、セキュリティおよび規制要件の順守確保、サービスコストの最適化において、IT部門をサポートする」
Gartnerの調査は2022年4〜5月に、北米、欧州、中東、アフリカ(EMEA)、アジア太平洋地域(APAC)に事業所を置く年間売上高10億ドル以上の企業のI&Oリーダーとその直属の部下を対象に行われ、304人から回答を得た。
インフラ展開では自動化がより一般的に
調査では、I&Oチームはアプリケーションのデプロイ(展開)(47%)、I&Oワークロードの自動化(43%)、エンドユーザーデバイスのデプロイ(41%)といったさまざまなデプロイにおいて、最も頻繁に自動化を利用していることも明らかになった。アプリケーションのデプロイを自動化している回答者の90%は、この自動化が価値をもたらしていると報告している。
Gartnerのリサーチ部門シニアプリンシパルを務めるメラニー・フリーズ氏は、次のように指摘する。「デプロイの自動化は、I&Oチームとその恩恵を受けるユーザーの間で生じる摩擦を減らすのに役立つ。DevOps、アジャイル、サイト信頼性エンジニアリング(SRE)の台頭により、モニタリングやインシデント解決のような運用分野における自動化も進んできた。だが、その恩恵はより間接的であるため、投資の正当化が難しい場合もある」
例えば、パッチの適用や脆弱(ぜいじゃく)性の修正を自動化しているI&Oリーダーは、全体の22%にとどまる。だが、こうした作業を自動化している企業の70%は、自動化がビジネスに大きな影響をもたらすと認識しており、I&Oチームは自動化を運用分野に早急に拡大すべきだと強調している。
自動化ユースケースの選択を求められるI&Oリーダー
I&Oの自動化の取り組みが非常に成功していると答えた調査回答者は、全体の21%だった。最も一般的な課題として、最適なユースケースを選択するためのROI(投資収益率)の見積もり、より利用者本位のアプローチへの業務方法の変更、従来のプロセスやインフラの改善、関連スキルの開発および習得が挙げられている。
「I&Oのリーダーは自動化の取り組みを選択する際に、潜在的なビジネス価値よりも、実現可能性や需要の大きさに注目する傾向がある」と、フリーズ氏は述べている。「I&Oリーダーは、再利用可能で、イノベーションとビジネス上の新たな優先事項をサポートする取り組みを優先させることで、自動化投資がもたらす効果を高めることができる」
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