年末年始恒例、「2023年にサポートが終了する」Microsoft製品まとめ――どうなるWindows? どうなるOfficeアプリ?:山市良のうぃんどうず日記(247)
2022年も残すところあと少し。この時期は恒例となった、サポートが終了するMicrosoft製品/サービスをまとめて取り上げます。2023年、Windows 10は、Windows Serverは、Officeアプリはどうなるのでしょうか。
一覧で確認する2023年中にサポートが終了するMicrosoft製品
Microsoftは自社の製品およびサービスのサポートライフサイクルの終了予定に関して、以下のサイトに終了年ごとの一覧を公開しています(画面1)。向こう1年、つまり2023年中にサポート終了を迎える製品とサービスを確認し、家庭や企業で影響を受けるものがないかどうか確認することをお勧めします。
- 概要 - 製品のサポート終了(Microsoft Lifecycle)
- 2023年にサポートが終了する製品(Microsoft Learn)
2023年にサポートが終了するMicrosoftの製品とサービスから、筆者が気になるものを幾つかピックアップしました。
ついにデスクトップOSはWindows 10とWindows 11だけに!
年明け早々の「2023年1月10日」に、「Windows 8.1」の延長サポートが終了を迎えます。日本では翌日に提供される「累積更新プログラム(Bリリース)」、つまり次の累積更新プログラムが最後のセキュリティ更新プログラムになります(画面2)。

画面2 筆者はWindows 8.1の環境をHyper-V仮想マシンとして維持しているが、2023年1月の更新を最後に、Windows 7と同様、もうメンテナンスしなくてよくなる(アーカイブ目的で今後も保持)
同じ日に、3年前に既に延長サポートが終了した「Windows 7」に対する、企業向けの有料オプション(Microsoft Azureでは無料)である「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」の最後の3年目も終了します。
これで、PC向けでサポートされるWindowsは、「Windows 10」と「Windows 11」だけになります。2022年6月に既にサポートが終了したため、2023年の一覧には含まれませんが、Windows 10では2023年2月14日に予定されているMicrosoft Edgeの更新により、デスクトップアプリとしての「Internet Explorer(IE)11」が完全に無効化されます。
これまで「Windows Updateを通じて無効化される」といわれてきましたが、2022年12月中旬にMicrosoft Edge Updateで行われることが発表されました。IEのアイコンやスタートメニュー、タスクバーからの削除といった視覚的な参照についも、2023年6月のBリリース(5月のCリリースに先行で)で削除されることが発表されています。
- デスクトップアプリとしての「Internet Explorer」が2023年早期にいよいよ完全無効化、その後はどうする?(連載:企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内 第1回)
- New details on IE11 desktop application permanent disablement scheduled for February 14, 2023(最新情報)[英語](Microsoft Learn)
Windows 8.1のサポート終了と同時に、Windows 8.1標準搭載の「Windows Defender」もサポートが終了します。
Microsoftは、2020年1月のWindows 7のサポート終了時に「Microsoft Security Essentials」のダウンロード提供を停止し、2023年まではエンジンと定義の更新プログラムを提供し続ける予定であることを発表しましたが、2022年12月時点でもまだダウンロードできるようです。Windows 7の3年目のESUが終了したときに、ダウンロードサイトがどうなるのか、サポート終了のその日に定義ファイルのリリースも打ち止めとなるのか、ひそかに注目しています。
- Microsoft Security Essentialsの概要(Windowsサポート)
- Microsoft Security Essentials(Microsoftダウンロードセンター)
Windows 7およびWindows 8.1に対しては、「Microsoft Edge」および「Google Chrome」のサポートも終了になります。2022年12月時点で、これらのOS上のMicrosoft EdgeおよびGoogle Chromeには、「今後Microsoft Edge更新プログラムを入手するには、Windows 10以降が必要です……」「今後、Google Chromeのアップデートを受信するには、Windows 10以降が必要となります」というメッセージとともに、以下の記事へのリンクが表示されるようになりました(画面3)。これらのOSに対しては、2023年1月に提供されるMicrosoft EdgeおよびGoogle Chromeの「バージョン109」が最後になります。
- Sunsetting support for Windows 7 / 8/8.1 in early 2023[英語](Google Chromeヘルプ)
「2023年1月10日」は、「Windows Server 2008」と「Windows Server 2008 R2」のESUの3年目も終了になります。オンプレミスでESUを利用してWindows Server 2008/2008 R2を延命してきた企業は、いよいよタイムリミットです。
最大3年のESUを使ってオンプレミスのシステムを延命したとして、その後、後継バージョンへの移行といった対策は済んだのでしょうか。なお、Microsoft Azureの特典として提供されるAzure仮想マシン(およびAzure Stack上の仮想マシン)でのWindows Server 2008/2008 R2のESUは4年目も提供されることが決まっています。
そして「2023年10月10日」には、「Windows Server 2012」と「Windows Server 2012 R2」の延長サポートが終了します。今回も、最大3年のESUが有料または無料(Microsoft AzureおよびAzure Stack)で提供されることが決まっていますが、製品のサポート終了のたびに同じことを繰り返さないことを願っています。
OfficeアプリはMicrosoft 365 Appsサブスクがお勧め
Windowsと並んで多くの企業に導入されているアプリケーションでは、「Office 2013」アプリとOffice 2013サーバ製品の延長サポートが「2023年4月11日」に終了します。
Office 2013は、「クイック実行形式(Click-to-Run、C2R)」と「Windowsインストーラー形式(MSI)」のいずれかの提供形式があり、一般向けはCR2、ボリュームライセンス製品はMSIで提供されました。その後、C2Rが標準的になり、「Office 2019」以降はMSI版が提供されていません。
もし、まだMSI版Office 2013を利用している場合は、C2R形式との違いに戸惑うかもしれません。例えば、インストール先やインストールする製品を選択できないなどです(「Office展開ツール」を使用してカスタマイズすることは可能です)。
また、ライセンス形態が当時とは様変わりしていることにも注意が必要です。現在のOfficeアプリは、「Microsoft 365 Apps」を含むサブスクリプション契約が主流です。永続ライセンス製品もまだありますが、最新の永続ライセンス製品である「Office 2021」のサポート期間はメインストリームサポートの「5年」だけです。
延長サポート期間は、「Office 2016」以前は「5年」でしたが、Office 2019で「2年」に短縮され、Office 2021では延長サポートが提供されなくなりました。永続ライセンス製品を利用している場合は、契約期間中、常に最新バージョンが提供されるサブスクリプション製品に移行することをお勧めします。
Report Viewer 2012 Runtimeのサポート終了、再延長はあるか?
筆者が以前からそのライフサイクルが気になっているものの一つに、「Microsoft Report Viewer 2012 Runtime」があります。なぜかというと、「Windows Server 2016」以降の「Windows Server Update Services(WSUS)」でレポート機能を利用する場合、Microsoft Report Viewer 2012 Runtimeが必要になるからです。その要件は、最新の「Windows Server 2022」のWSUSでも変わっていません。WSUSに新機能はなく、「Windows Server 2019」以降のWSUSは実質的にWindows Server 2016のもののようです。
より新しいバージョンとしては、「Microsoft Report Viewer 2015 Runtime」が提供されています。試しにWindows Server 2022のWSUS環境にインストールしてみましたが、レポート機能は利用できませんでした。やはり、Windows Server 2016以降のWSUSのレポート機能には、Microsoft Report Viewer 2012 Runtimeが必須なようです(画面4)。
「2023年1月10日」は、Microsoft Report Viewer 2012 Runtimeの延長サポートの終了日でもあります。もともと「2022年7月12日」に終了する予定でしたが、半年間延長されました。Windows ServerのWSUSのサポートは続くわけですから、WSUSを改良するか、Microsoft Report Viewer 2012 Runtimeのサポートもさらに延長してもらわないと困ります。それとも、レポート機能は使わないでくださいということになるのでしょうか……。
Azureに「仮想マシン(クラシック)」は残っていませんか?
Microsoft Azureのサービスでは、「Azure仮想マシン(クラシック)」のサポートが「2023年3月1日」に終了します(画面5)。これについては、以下の連載で取り上げたように、かなり前から予告されており、新しい「Azure Resource Manager(ARM)」デプロイモデルへの変換機能も用意されています。
- 2023年3月に「仮想マシン(クラシック)」が終了、Azure Resource Managerにできるだけ早く移行を(連載:Microsoft Azure最新機能フォローアップ 第133回)
お初にお目にかかります、そして、さようなら「Microsoft Kaizala」
「2023年8月31日」にサポートが終了する「Microsoft Kaizala」。恥ずかしながらサポート終了のお知らせで、初めてこの製品の名前を目にしました。このアプリは、インド市場向けに投入されたメッセージングサービスで、その後、Microsoft 365 Appsの一部としてグローバルに提供されるようになったのだそうです。Microsoft 365サブスクリプションでKaizalaポータルにアクセスできましたし、「Google Playストア」にアプリも見つかりました(画面6)。
- 安全なモバイルチャットアプリ - Microsoft Kaizala(Microsoft 365)
同様の機能は「Microsoft Teams」に含まれており、Kaizalaのアプリとサービスは、あまり認知されることのないまま、廃止ということになります。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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