いよいよ完全終了へ。Internet Explorer(IE)サポート終了スケジュール:Tech TIPS
長らくWindows OSに標準装備されてきたInternet Explorer(IE)。その「寿命」は各種サポートの終了時期に左右される。Windows OSごとにIEのサポート終了時期を分かりやすく図示しつつ、見えてきた「終わり」について解説する。
■記事内目次
これまでのWindows OSには、Webブラウザとして「Internet Explorer(IE)」が標準でインストールされてきた。そして、ユーザーが直接使うWebブラウザに限らず、さまざまなアプリケーションがHTMLファイルなどを表示する際のコンポーネントとしても、IEはよく利用されてきた。
そのIEの「寿命」が(一部を除いて)もうすぐ尽きようとしていることはご存じだろうか? 過去にWindows XPやWindows 7でよく話題に上った「サポート終了時期」が、IEにもやって来るのだ。
本Tech TIPSでは、Windows OSごとに、サポートされているIEのバージョンおよびその終了時期が一目で分かるように図で表してみた。さらにネットサービスによるIEサポート終了の動きや、IEから他のWebブラウザへの移行に関する記事などもまとめている。IEからの「脱出」計画に役立てば幸いだ。
Windows 10 Home/ProのIEサポート終了時期
Windows 10 HomeやPro、Pro Education、Pro for WorkstationのIEサポート終了時期は以下の通りだ。
上図の緑色のバー(横棒)は、IEの開発および提供元であるMicrosoftによって定められているライフサイクル上のサポート期間を表す。
OS | IE | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 10 バージョン1507 | IE11 | 2017年5月9日 |
Windows 10 バージョン1511 | IE11 | 2017年10月10日 |
Windows 10 バージョン1607 | IE11 | 2018年4月10日 |
Windows 10 バージョン1703 | IE11 | 2018年10月9日 |
Windows 10 バージョン1709 | IE11 | 2019年4月9日 |
Windows 10 バージョン1803 | IE11 | 2019年11月12日 |
Windows 10 バージョン1809 | IE11 | 2020年11月10日 |
Windows 10 バージョン1903 | IE11 | 2020年12月8日 |
Windows 10 バージョン1909 | IE11 | 2021年5月11日 |
Windows 10 バージョン2004 | IE11 | 2021年12月14日 |
Windows 10 バージョン20H2 | IE11(ブラウザとしてのIE) | 2022年5月10日 |
Windows 10 バージョン20H2 | IEモード | 2022年5月10日 |
Windows 10 バージョン21H1 | IE11(ブラウザとしてのIE) | 2022年6月15日 |
Windows 10 バージョン21H1 | IEモード | 2022年12月13日 |
Windows 10 バージョン21H2 | IE11(ブラウザとしてのIE) | 2022年6月15日 |
Windows 10 バージョン21H2 | IEモード | 2023年6月13日 |
Windows 10 Home/ProのIEサポート終了日 |
●WebブラウザとしてのIEは2022年6月で使えなくなる
上記の図や表の「ブラウザとしてのIE」は、単体で動作するWebブラウザアプリとしてのIE11を指している。そのサポートは2022年6月15日に終了する(以前は2025年10月終了だったのが前倒しされた)。
それ以後は、ブラウザとしてのIEの起動ができなくなる。IEの実行ファイルである「iexplore.exe」を実行しても、代わりにMicrosoft Edgeが自動的に起動するようになる、とのことだ。「サポートが終わってもこっそり使えるから大丈夫」ということは通用しない。これは重々踏まえておく必要がある。
●IE救済策の「IEモード」はOSと同じ期限までサポートされる
上記の図や表の「IEモード」は、Microsoft Edge内でIE専用ページを表示可能にする機能だ(詳細は後述)。ブラウザとしてのIE11のサポートが終わった後も、IEモードのサポートは継続する。IE専用ページを利用できるようにする、いわば救済策の本命といえる機能だ。
この他、「MSHTMLエンジン」「Trident」「IEコンポーネント」と呼ばれる、IEでWebページの描画などを担うソフトウェアパーツについても、IEモードと同様、Windows OSのサポート終了までサポートが継続される。
Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了時期
Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了時期は以下の通りだ。Enterpriseエディションについては、「半期チャネル(SAC: Semi-Annual Channel)」を対象としている(Enterprise LTSB/LTSCについては後述)。
OS | IE | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 10 バージョン1507 | IE11 | 2017年5月9日 |
Windows 10 バージョン1511 | IE11 | 2017年10月10日 |
Windows 10 バージョン1607 | IE11 | 2019年4月9日 |
Windows 10 バージョン1703 | IE11 | 2019年10月8日 |
Windows 10 バージョン1709 | IE11 | 2020年10月13日 |
Windows 10 バージョン1803 | IE11 | 2021年5月11日 |
Windows 10 バージョン1809 | IE11 | 2021年5月11日 |
Windows 10 バージョン1903 | IE11 | 2020年12月8日 |
Windows 10 バージョン1909 | IE11 | 2022年5月10日 |
Windows 10 バージョン2004 | IE11 | 2021年12月14日 |
Windows 10 バージョン20H2 | IE11(ブラウザとしてのIE) | 2022年6月15日 |
Windows 10 バージョン20H2 | IEモード | 2023年5月9日 |
Windows 10 バージョン21H1 | IE11(ブラウザとしてのIE) | 2022年6月15日 |
Windows 10 バージョン21H1 | IEモード | 2022年12月13日 |
Windows 10 バージョン21H2 | IE11(ブラウザとしてのIE) | 2022年6月15日 |
Windows 10 バージョン21H2 | IEモード | 2024年6月11日 |
Windows 10 Enterprise/EducationのIEサポート終了日 |
前述のHome/Proエディションと同様、Windows 10 Enterprise/Educationでも「ブラウザとしてのIE」と「IEモード」でサポート終了期限が異なる。「ブラウザとしてのIE」は、遅くとも2022年6月15日にはサポートが終了する。
Windows 10 Enterprise LTSB/LTSCのIEサポート終了時期
Windows 10 Enterpriseのうち、「LTSB」「LTSC」(Long-Term Servicing Branch/Channel)と呼ばれる長期サポート版でのIEサポート終了時期は以下の通りだ。
OS | IE | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB | IE11 | 2025年10月14日 |
Windows 10 Enterprise 2016 LTSB | IE11 | 2026年10月13日 |
Windows 10 Enterprise LTSC 2019 | IE11 | 2029年1月9日 |
Windows 10 Enterprise LTSC 2021 | IE11 | 2027年1月12日 |
Windows 10 Enterprise LTSB/LTSBのIEサポート終了日 |
Enterprise LTSB/LTSCの場合、「ブラウザとしてのIE」「IEモード」ともにWindows OSのサポート終了までサポートが継続される。
Windows 11では既に「ブラウザとしてのIE」が使えない
2021年10月にリリースされた「Windows 11」では、既に「ブラウザとしてのIE」が利用できなくなっている。[スタート]メニューなどにIEのショートカットは登録されておらず、IEの実行ファイルである「iexplore.exe」を実行しても、代わりにMicrosoft Edgeが起動してしまう。
一方、IEモードについてはWindows 10と同様に利用できる。サポート期限もWindows OS本体と同じで、2022年6月15日以降も利用できる。
2022年6月15日以前でも、Windows 10からWindows 11へアップグレードしたり、Windows 11プリインストールPCにリプレースしたりすると、その時点でブラウザとしてのIEが使えなくなるので注意が必要だ(細工をすれば実行できなくもないが)。何らかの理由からWebブラウザとしてのIEが必要な場合は、Windows 11へのアップグレードは行わない方がよいだろう。
Windows 8.1以前でのIEサポート終了時期
Windows 8以前はOS自体のサポートが終了しており、IEもサポートが終わっている。Windows 8.1については、OS本体と同じく2023年1月10日でIEのサポートが終了する。
OS | IE | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 2000 Professional | IE5 | 2010年7月13日 |
Windows 2000 Professional | IE5.5 | 2005年12月31日 |
Windows 2000 Professional | IE6 | 2010年7月13日 |
Windows XP | IE6/IE7/IE8 | 2014年4月8日 |
Windows Vista | IE7/IE8 | 2016年1月12日 |
Windows Vista | IE9 | 2017年4月11日 |
Windows 7 | IE8/IE9/IE10 | 2016年1月12日 |
Windows 7 | IIE11 | 2020年1月14日 |
Windows 8 | IE10 | 2016年1月12日 |
Windows 8.1 | IE11 | 2023年1月10日 |
Windows 2000/XP/Vista/7/8/8.1のIEサポート終了日 |
Windows ServerのIEサポート終了時期
Windows ServerのIEサポート終了時期は以下の通りだ。
OS | IE | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 2000 Server | IE5 | 2010年7月13日 |
Windows 2000 Server | IE5.5 | 2005年12月31日 |
Windows 2000 Server | IE6 | 2010年7月13日 |
Windows Server 2003 | IE6/IE7/IE8 | 2015年7月14日 |
Windows Server 2008 | IE7/IE8 | 2016年1月12日 |
Windows Server 2008 | IE9 | 2020年1月14日 |
Windows Server 2008 R2 | IE8/IE9/IE10 | 2016年1月12日 |
Windows Server 2008 R2 | IE11 | 2020年1月14日 |
Windows Server 2012 | IE10 | 2020年1月31日 |
Windows Server 2012 | IE11 | 2023年10月10日 |
Windows Server 2012 R2 | IE11 | 2023年10月10日 |
Windows Server 2016 | IE11 | 2027年1月12日 |
Windows Server 2019 | IE11 | 2029年1月9日 |
Windows Server, version 1809 | IE11 | 2020年11月10日 |
Windows Server, version 1903 | IE11 | 2020年12月8日 |
Windows Server, version 1909 | IE11 | 2021年5月11日 |
Windows Server, version 2004 | IE11 | 2021年12月14日 |
Windows Server, version 20H2 | IE11 | 2022年8月11日 |
Windows Server 2022 | IE11 | 2031年10月14日 |
Windows ServerのIEサポート終了日 |
既にIEでは利用できないWebサイト/アプリが増加中
前述の通り、市場の大部分を占めるWindows 10 Home/Proでは、2022年6月15日で「ブラウザとしてのIE」が実質的に使えなくなる。だが、それより前に「インターネットブラウザ」としてのIEの実質的な寿命は尽きようとしている。
●Twitterなどメジャーなサービスは既にIEで利用不可
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