英語が難しい? エンジニアはもっと難しい言語を知っているじゃないか:Go AbekawaのGo Global!〜Vipul Mishra(後)(1/3 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回も八楽のVipul Mishra(ビプル・ミシュラ)さんにお話を伺う。翻訳という定量的な解釈が難しい領域で苦労しつつ、「面白い」と笑顔をのぞかせるビプルさんの知的探究心の原動力は何か。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。前回に引き続き、八楽のソフトウェアエンジニア、Vipul Mishra(ビプル・ミシュラ)さんにお話を伺う。やりたいことが無数にあるビプルさんの次のターゲットは「真のレコメンド機能」――?
聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
面白い。だから、やっていられる
阿部川 “Go”久広(以降、阿部川) 現在、八楽ではどんな仕事をしているのですか。
Vipul Mishra(ビプル・ミシュラ、以降ビプルさん) 基本的には翻訳やポストエディット(後編集)に役に立つ技術を開発しています。自動車業界だったり、宇宙業界だったり。そういう業界のドキュメントの翻訳で、なるべく少ないデータでいい精度を出すにはどうしたらいいかというアルゴリズムや技術を研究しています。
他にも、機械翻訳の結果で間違えたところをどう検出できるか、どういうふうにすれば「この部分が間違っている」とユーザーに指摘できるかなど、翻訳の質を上げるための仕組みを考えています。
阿部川 今チームは何人ぐらいですか。
ビプルさん エンジニアが3人、アドバイザーが2人といった構成です。社長がプロジェクトマネジャー的に「こういう風にしたらどう」とか「これはどういう可能性があるのか」といったフィードバックをくれることもあります。基本的にエンジニア3人で働いて、ミーティングして、タスク分けして、誰かがどっかで戸惑ったらディスカッションするといった感じで進めています。
八楽で好きなところは、自分で新しいアイデアを実現して、それが良ければすぐに提供できる、自分のアイデアを実現するまでの抵抗がかなり少ないということですね。
阿部川 これをやろうと思ったらすぐやれる、いろんな手続きとかそういうのは全くない。日本の奨学金制度と全然違いますね(苦笑)。メンバーとは日本語でコミュニケーションするのですか。
ビプルさん 英語ですね。みんな違う国籍で、ブラジル人、ロシア人、アドバイザーは1人インド人、もう1人は日本人で東大の先生、という多国籍のチームなので。
阿部川 直近で1番忙しい、大変だなと思ったことはなんですか。
ビプルさん そうですね、「翻訳の言い換え」ですかね。「ヤラクゼン」で新しい機能として提供する予定なのですが、クオリティーの高い言い換えを実現するにはどうするのが一番かを考えています。例えば、単語だけ変えるだとか、フレーズを言い換えるだとか。そういうディスカッションをしたり、どういうふうにそれを実現できるかとかやったり。いろいろ手法を探りつつ、ユーザーとしての体験を向上させる工夫をしています。
阿部川 大変そうですけど、面白そうですね。
ビプルさん はい、結構面白いです。だからこそ、やっていられる。
シンプルな一言ですけど、響きました。ユーザー体験と言ってもさまざまな人がいるわけで、それぞれに対応するのは至難の業です。試せることは幾つかあっても、そのどれが効果的かはやってみないと分からない。効果が出るまで長い時間がかかるかもしれない。それを「面白い」と言い切れるビプルさん(と八楽の環境)、素晴らしいですね。
阿部川 いいですね。面白いといえばお仕事以外で最近はまっているものは何ですか。
ビプルさん 私は結構、文字(テキスト)が好きなんです。機械学習をやっている人は、基本的に画像から入ることが多いんですね。画像を入れたいとかいじりたいとか、そういう人たちが多いからだと思うのですけど、私は文字と音楽が好きです。
阿部川 どういう音楽が好きなんですか。
ビプルさん インディーズが1番好きです。日本で言うと「THE NOVEMBERS」が思い浮かびます。基本的に海外のいろいろな国のバンドの曲を聞いています。インディロックかインディポップですね。ギターが入ってないと好きにならないぐらい。
阿部川 こうやって話していると穏やかだけど、コミュニティーに行ったら「この野郎! 何だ!」みたいな感じですか。
ビプルさん いや、全然そんなことないです(笑)。
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