無料版「Microsoft Defender」以外に使われている人気のアンチウイルス製品は?:米国在住者1003人が回答
Security.orgは、米国在住者1003人を対象にアンチウイルス製品の導入目的や製品別のシェアを調査した結果を公開した。
Security.orgは2023年2月22日(米国時間)、アンチウイルス製品市場の年次調査「2023 Antivirus Market Annual Report」を公開した。同調査は2022年、インターネットを利用して米国在住の1003人を対象に実施されたものだ。Security.orgによると今後6カ月間で推定1600万人が有料のアンチウイルス製品を購入する予定だと考察している。
アンチウイルス製品を導入する理由
社会のデジタル化が進む中で、アンチウイルス製品の重要性は増しており、米国人の4人に3人が必要だと考えている。それを裏付けるように、仕事やプライベート用のデバイスを保護するためにアンチウイルス製品を導入している割合は、2021年に77%、2022年は85%と増加している。デバイス別のアンチウイルス製品導入率はPCが83%、携帯電話が24%、タブレットが17%だった。
年齢別の導入率で見ると、高齢層が若年層よりも高い。55歳以上では86%がアンチウイルス製品を導入している一方、18〜24歳の導入率は65%だ。
アンチウイルス製品を導入する理由は、マルウェアやウイルスに対するセキュリティが88%、プライバシー保護が59%、ネットショッピングのセキュリティ向上が51%、仕事で必要が24%だった。Security.orgは、テレワークのトレンドが今後も継続すれば、アンチウイルス製品の導入は進むと指摘している。
データ漏えい防止プラットフォーム「Nightfall」の共同設立者であるIsaac Madan氏は、次のように述べている。
「アンチウイルス製品は、テレワークの安全性を保つために重要な要素だ。悪意のある攻撃やウイルスに対する重要な保護を提供する。従業員が知らず知らずのうちにWebサイトや電子メールの添付ファイルからマルウェアや悪意のあるコードをダウンロードしてしまうことを防ぐこともできる」
一部の回答者は暗号通貨取引における安全性確保のためにアンチウイルス製品を導入しているという。今日、多くのアンチウイルス製品がデジタルセキュリティを強化する他の機能も提供している。アンチウイルス製品が提供する追加機能はファイアウォールとネットワーク保護が58%で、セキュアブラウザが38%、システムパフォーマンスの最適化が29%、パスワードマネジャーが23%だった。いずれもオンラインでの活動において不可欠な機能だ。
有料版のアンチウイルス製品はコストに見合う価値があるのか
アンチウイルス製品を巡って議論になるのが、有料版のアンチウイルス製品はコストに見合う価値があるかどうかだ。
同調査によると、無料版のアンチウイルス製品を導入しているのは61%で、有料版のアンチウイルス製品を導入しているのは32%だった(6%が分からないと回答している)。アンチウイルス製品を導入しているユーザーの内、過去1年間にウイルスに影響を受けた割合は、無料版のユーザーが8%、有料版のユーザーが10%で差はほとんどなかった。Security.orgは、専門家の中でも「コストに見合う価値はない」と言う人が増えており、同調査にも価値はないと考えているユーザーが多い傾向にあると指摘している。
アンチウイルス製品の無料版/有料版でのシェアは下表の通り。
無料のアンチウイルス製品では、Windowsデバイスに標準で搭載されている「Microsoft Defender」のシェアが39%と最も高かった。有料のアンチウイルス製品では「Norton」が30%で最も高く、「McAfee」が24%だった。Security.orgは、前回の調査と比較して大きな変化はないものの、Microsoft Defenderがバックグラウンドで動作していることに回答者が気付いていない可能性もあると指摘している。
アンチウイルス製品に期待する機能は
同調査によると、今後6カ月間で7%が有料のアンチウイルス製品を購入する予定だ。推定で1600万人の米国人が、今後、初めてアンチウイルス製品を導入または切り替えを計画しているとSecurity.orgは考察している。一方、アンチウイルス製品を導入していないユーザーの内、3人に1人はコストを理由にウイルス対策はしないと回答している。
アンチウイルス製品を導入していないユーザーが魅力的に感じている機能は、IDの盗難防止、ファイアウォール、VPNなどインターネットを保護する機能だ。
Security.orgは今回の調査結果を踏まえ、無料のアンチウイルス製品に対する認知度が高まれば、ウイルス対策に抵抗のある多くの人々に導入を検討してもらうことができると考察している。アンチウイルス製品のサブスクリプションモデルを採用しているプロバイダーに対しては、VPN、個人情報保護および監視、ペアレンタルコントロールなどの二次的機能を通じて、製品の価値を提供し続けることが重要だと指摘している。
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