チャットbotによるカスタマーサポートは53%が対応に不満 ChatGPTならどう変わる?:「ChatGPTのような対話AIがカスタマーサポートツールになる日は近い」
Capterraは一般小売業におけるカスタマーサポートチャットbotの利用状況を調査した。チャットbotは今日、製品やサービスに関する簡単な問い合わせから返品処理まで利活用されているが、消費者視点ではチャットbotの対応に満足できていない現状が明らかになった。
Capterraは2023年4月10日、米国の消費者1001人を対象に、一般小売業におけるカスタマーサポートのチャットbotの利用状況を調査した結果を明らかにした。本調査では、月に1回以上オンラインショッピングをしており、小売店のカスタマーサポートでチャットbotを1回以上利用したことがある人の回答を抽出している。
チャットbotから対話AIに移行する日は近い
チャットbotは、製品やサービスに関する簡単な問い合わせ、注文の追跡、返品処理など一般小売業におけるルーティンワークに利活用されている。しかし、同調査によると、チャットbotによるカスタマーサポートを利用したことがある消費者の53%が、全体的な体験を「まあまあ」「悪い」と評価しており、チャットbotを使って商品を検索したのは17%、商品をオススメされたことがあるのは7%にとどまった。
小売業で利用されているチャットbotの多くはルールベースであり、ユーザーからの質問を総合的に解釈するのではなく、ユーザーの質問文のキーワードを検索したり、質問文のサンプルをクリックできる形で提供したりしている。そのため、あらかじめ想定された質問にしか回答できず、チャットbot自身が答えを導き出すことは難しい。チャットbotを利用する中小企業の立場からすると、ネガティブなフィードバックを受けやすく、チャットbotの継続的なメンテナンスも必要という課題もある。
そこで注目されるのが、ChatGPTに代表される対話AI(人工知能)だ。同調査によると、ChatGPTを一度でも利用したことがある回答者の内、66%は自分の質問を「常に」または「しばしば」理解できていると感じており、ChatGPTのようなチャットbotを提供する小売店で買い物をする可能性が高いと回答している。
Capterraは調査結果を踏まえ、ユーザー独自の質問に対して独自の回答をリアルタイムで生成できる対話AIツールが、小売業における顧客体験の改善につながる可能性があり、オンラインショッピングにおける有力なツールの一つになる日も近いと考察している。
ルールベースのチャットbotを利用する際の推奨事項
一方、同調査によるとChatGPTの利用者の内、ショッピングのためにAIを利用したことがある人は11%にすぎないという。Capterraは、ChatGPTのような会話AIが一般に普及するまでの間、ルールベースのチャットbotは価値があるとした上で、導入の効果を最大化するために以下の事項を推奨している。
- チャットbotから人間によるカスタマーサポートに簡単かつ便利に接続できることを明示する
- 注文の追跡や返品など、使用頻度の高い機能を優先して実装し、チャットbotから一貫して実行できるようにする
- チャットbotに人間のようなアバター(アイコン)を持たせ、ポジティブな姿勢で振る舞わせる
- カスタマーサポートをチャットbotだけに頼らない
- チャットbotの利用者にお得なキャンペーンやロイヤルティープログラムを紹介する
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