セキュリティスキルはポッドキャストで身に付けた:Go AbekawaのGo Global!〜Julian Garthwaite(前)(3/3 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はセキュリティエンジニアのJulian Garthwaite(ジュリアン・ガースウェイト)さんにお話を伺う。ニュージーランドの自然豊かな場所で生まれ育った同氏の将来の夢は「弁護士か政治家になって自国に貢献すること」。そんなジュリアンさんが技術の道に進んだ理由とは。
セキュリティ担当として勉強する毎日
阿部川 Spark New Zealandではどんなお仕事をされたのですか。
ジュリアンさん Spark New Zealandではセキュリティオペレーションチームに所属していました。24時間シフトで、昼夜なく一生懸命仕事をしました。おかげで技術スキルも向上しましたし、チームとして仕事をする能力も上がったと思います。非常にやりがいのある仕事でした。それまでも、自分を鼓舞して仕事の質を上げてきたと自負してはいますが、Spark New Zealandでの仕事では本当にモチベーションが上がりました。
阿部川 結構、長い期間お勤めされたのですね。
ジュリアンさん そうですね。最初はセキュリティの一担当でしたが、その後シニアセキュリティアナリストになり、サードパーティーとインフラストラクチャの整備や、Bluetooth関連、ネットワークの拡張、インシデントの解析や対応、セキュリティを機能させるためのオペレーションなど、さまざまな業務を担当しました。
どうやってセキュリティは破られるのか、何にアクセスされたか、どうすれば防げるか、セキュリティをコンテナ化することは有用か、などに毎日対応していました。リバースエンジニアリングの手法を使って解析することもありました。これらには非常に高度なチームの機能性が必要です。ビジネスを行う上で、このような経験をできたことを大変光栄に思いますし、現在まで生きるバックグラウンドとなっています。
このときの上司が大変素晴らしい人で。テクニカルなことも、マネジメントに関することも、セキュリティに関するオペレーションの方法も、多くを学び、感銘を受けました。
やはり素晴らしいエンジニアを育てるには、技術力と理解のある、尊敬できる上司は欠かせませんね。まぁ年齢的には自分がそういう存在にならないといけないのですけれど……。
阿部川 素晴らしい学びの環境だったのですね。しかし、大変なこと、つらいこともあったのではないですか。
ジュリアンさん そうですね。1つは「自分ではできないと言わなければならなかったこと」です。マネジメントのポジションで大切なことは、自分やチームが「何が分かっていて」「何ができて」「何が分からないか」を知っていることだと思いますが、「助けてくれ」と言うのは難しいものです。
知らないから駄目だと言っているのではありません。知らないならこれから知ればいいし、勉強して詳しくなればいい。ただ自分の限界を感じたり、何かを知らない状態でいたりするのはつらいことでした。それでもリスクをとって判断しなければならないし、ビジネスを守りたいというプライドもあります。それでも「解決できない」と言わなければならないときはありました。組織の予算や規模としては非常に大きいし、洗練されたシステムを使っているのに、結局無力であると感じたときはつらかった。
もう1つは、「会社を辞めると決めたこと」です。Spark New Zealandには9年在籍しました。多くの業務に関わり、素晴らしいキャリアを重ねられたと思っていますし、私もそれなりに貢献できたと思っています。ただ、憧れているポジションは既に埋まっていてそこにはいけないと分かりました。そんなときに偶然ヘッドハンターからオファーがあったのです。キャリアを進めるための前向きな転職ではありますが、辞める決断をしたときはつらかったです。
ゲームが大好きなニュージーランドの少年は、母の助言を胸に技術の道をひた走る。大好きな技術と同じ志を持つ友人に囲まれ成長したジュリアンさんはやがてセキュリティエンジニアを目指す。後編はジュリアンさんのスキルアップ術と、エンジニアに向けたメッセージを紹介する。
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