「優秀エンジニアの争奪戦」に巻き込まれる日本企業、2026年までに過半数に影響 ガートナー:作業者としてではなくクリエーターとしてのエンジニアが必要
ガートナージャパンは、「テクノロジー人材」に関する展望を発表した。やがて来る“産業革命的な大転換期”に備えるには、ないものを創造する「クリエーター的エンジニア」が不可欠になるという。
ガートナージャパンは2023年5月11日、「テクノロジー人材」に関する展望を発表した。
ガートナージャパンの亦賀忠明氏(ディスティングイッシュト バイスプレジデント、アナリスト)は、「日本は、“江戸時代的な状況”から新たな“産業革命的な時代”へと向かいつつある。その変化に対応するにはテクノロジー人材、特に『クリエーター的エンジニア』が不可欠になる」と述べている。ここでいうクリエーター的エンジニアとは「ないものを創造するエンジニア」のことで、決められたことを決められた通りにこなす、といった“作業者的エンジニア”の対極に当たる。
ガートナージャパンは「時代の変化にいち早く対応している企業はITを駆使できる企業に進化しており、自社のITに関わる担当者やエンジニアをクリエーター的エンジニアに位置付けている」と指摘。2026年までに日本企業の60%以上がIT関連部門で働く人々をクリエーター的エンジニアとして再定義し、「『人を大事にし、人を元気にし、人に活躍いただく』ような組織に変わる」と予測している。
エンジニアの奪い合いが始まる
一方、優秀なエンジニアの“貴重さ”はますます際立ってきている。ガートナージャパンには「応募者がいない」「良い人材が来てくれない」「人材が来ても辞めてしまう」という企業の声が寄せられているという。ただ同社の分析では「受け入れ企業の環境整備に課題がある」という。
「人材が集まらない企業は、人材の役割が曖昧だったり、エンジニアのままでは昇進できなかったり、IT人材の位置付けや給料が低いことが多い。そうした企業では、優秀なエンジニアがたとえ集まったとしても、彼らは活躍できない」(ガートナージャパン)
こうした状況を踏まえてガートナージャパンは、2026年までにさまざまな業種で産業革命が進行し、60%以上の日本企業で優秀なエンジニアの奪い合いが起こるとみている。
亦賀氏は、「クリエーター的エンジニアの離職や奪い合いは、これからさらに深刻になる。日本企業は、企業や組織のカルチャーを、ゼネラリストの育成を中心とするものから、プロフェッショナルを尊重するものへと転換できるような施策を打つ必要がある。これから全てのエンジニアはAI(人工知能)やクラウドといったテクノロジーを駆使できるようになるべきだ」と述べている。
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