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23万台のHDD調査で分かった故障率ワースト1のメーカーとその理由ドライブ別、メーカー別でみた平均故障率を紹介

Backblazeは2023年第1四半期の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。

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 クラウドストレージやクラウドバックアップサービスを提供するBackblazeは2023年5月4日(米国時間)、2023年第1四半期の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。

 2022年第1四半期末の時点で、Backblazeは世界中のデータセンターで24万678台のHDDとSSDを管理していた。そのうち4400台が起動ドライブで、そのうち3038台がSSD、1362台がHDDだった。同レポートではBackBlazeの管理下にある23万7278台のデータドライブに焦点を当て、2023年第1四半期末の四半期および生涯の故障率を紹介した。また、ドライブのサイズやモデルなどごとに、故障したハードドライブの平均経過期間についても報告している。

2023年第1四半期のハードドライブの故障率

 2023年第1四半期では、顧客データの保存に使用される23万7278台のハードドライブが調査対象となった。テスト目的で使用されていたなどを理由に検討対象から385個のドライブを除いた23万6893台のハードドライブを分析した。


2023年第1四半期のハードドライブの故障率(提供:Backblaze)

2023年第1四半期のドライブ統計に関する注目点と注意事項

AFRの上昇

 2023年第1四半期のAFR(Annualized Failure Rate:年間平均故障率)は1.54%だった。2022年第4四半期の1.21%、2022年第1四半期の1.22%から上昇している。2023年第1四半期の3つのドライブ(下図)は、2022年第4四半期から2023年第1四半期にかけて、AFRがそれぞれ2倍以上に増加した。


2022年第4四半期から2023年第1四半期にかけて、AFRが増加したドライブのリスト(提供:Backblaze)

0または1個のドライブ障害が発生したドライブモデル

 以下の表は、2023年第1四半期にドライブ障害が発生しなかった、または、1回だけ発生したドライブのモデルを示している。


0または1個のドライブ障害が発生したドライブモデルのリスト(提供:Backblaze)

 表を見ると、四半期のうちドライブ日数が5万日未満のドライブ機種は、統計的に十分なデータがない。リストされているドライブモデルのうち2つについては、障害がゼロということは珍しいことではないという。16TB Seagate(モデル:ST16000NM002J)は前四半期も故障はゼロで、8TB Seagate(モデル:ST8000NM000A)は2022年第3四半期に初めて設置されて以来故障はゼロで、生涯AFRは0%だった。

2023年第1四半期のドライブサイズおよびメーカー別の年間故障率

 次の図は2023年第1四半期における年間故障率のデータをドライブサイズごとにまとめたものだ。


ドライブサイズ別2023年第1四半期における年間故障率(提供:Backblaze)

 上のグラフでは同社で使用している全てのドライブサイズが含まれているが、6TBと10TBはどちらも単一の機種のみで構成されており、四半期のドライブ日数は十分でない(6TBドライブでは7万9651日、10TBドライブでは10万5443日)。残りのドライブサイズには少なくとも220万のドライブ日数があり、四半期ごとの年間故障率の信頼性が高いといえる。

 次に、2023年第1四半期のデータをメーカーごとにまとめた。


メーカー別2023年第1四半期における年間故障率(提供:Backblaze)

 上のグラフは、製造年数に関係なく、メーカーの全てのドライブモデルを組み合わせたもの。同社の場合、古いドライブモデルの多くはSeagate製で、それが全体的なAFRの高さにつながっている。例えば、4TBドライブの60%はSeagate製で平均89カ月経過しており、実稼働中の8TBドライブの95%以上はSeagate製で平均70カ月以上経過している。バスタブ曲線を使用してハードドライブの平均寿命を調べたときに分かるように、古いドライブはより頻繁に故障する傾向がある。

ドライブ故障の平均経過時間

 ドライブ統計データのうち、障害が発生したドライブを全てまとめて、各ドライブの電源投入時間を記録し2013年4月10日から2023年3月30日までの間に障害が発生した1万8605台のドライブのリストを生成した。

 データ収集時に問題のドライブの状態が良好ではなかったドライブのデータを除いた、1万7155台の故障したドライブを分析した。このグループのドライブが故障するまでの平均経過時間を計算すると、2万2360時間、つまり2年6カ月強となる。

モデルおよびサイズごとのドライブ障害の平均経過時間

 下記のリストは50件以上の障害が記録されたドライブモデルだ。リストには平均故障経過時間で並べ替えた30個のモデルが含まれている。


モデル別にみたドライブ障害の平均経過時間(提供:Backblaze)

 リストには全体的な平均故障期間である2年6カ月を上回るドライブモデルと下回るドライブモデルが存在する。多くの小型ドライブモデル(1TB、1.5TB、2TBなど)の平均故障経過年数が、全体の平均である2年6カ月よりも長い。逆に、大きなサイズのドライブモデルの多く(12TB、14TB など)で、平均故障経過年数は平均を下回った。

 ドライブサイズごとの平均故障経過年数は下図の通り。


Backblazeがデータセンターで使用するドライブのサイズごとの平均故障経過年数(提供:Backblaze)

ハードドライブの生涯故障率

 2023年3月31日の時点で、23万7278台のハードドライブを追跡していた。ハードドライブの寿命を分析する際、統計データに適さなかった385台のドライブを除いた、23万6893台のハードドライブを30の異なるモデルにグループ化した。


Backblazeがデータセンターで使用する23万6893台のHDDの生涯AFR(提供:Backblaze)

生涯統計に関する所見

 上記の全てのドライブの生涯AFRは1.40%で、前四半期の1.39%からわずかに増加した。各ドライブモデルには独自のAFR値があるが、全てのハードドライブの生涯AFRは1.40%付近に落ち着いている。

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