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企業の収益はIT支出に見合っているか? 調査で分かった、中堅中小企業の経常利益の増減見通しとその要因IT活用提案の重要性が高まる

ノークリサーチは、中堅中小企業を対象に実施した、経常利益の増減見通しとその要因に関する調査の結果を発表した。IT活用を提案する際には、ユーザー企業がIT支出に見合う収益を上げられていることを把握することが重要だとしている。

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 ノークリサーチは2023年5月29日、年商500億円未満の中堅中小企業を対象に実施した、経常利益の増減見通しとその要因に関する調査の結果を発表した。それによると、経常利益の増加を見込むユーザー企業の48.6%がIT支出の増加を予定していることが分かった。

 今回の調査で、2023年の経常利益の増減見通しを「減少」と回答した企業の割合は30.1%、「増加」は31.4%。それぞれの企業群について、2023年のIT支出の増減見通しを見ると、経常利益が減少する見通しだと回答した企業では、IT支出を2022年よりも「減らす」と回答した企業の割合は42.8%、「ほとんど変化なし」は33.0%、「増やす」は17.2%。これに対して経常利益が増加する見通しだと回答した企業では、「減らす」は7.3%、「ほとんど変化なし」は37.7%、「増やす」は48.6%だった。ノークリサーチでは、IT活用を提案する際には、製品やサービスがユーザー企業の課題やニーズに合致していることに加えて、アプローチしようとしているユーザー企業はIT支出に見合う収益を上げられていることを把握することが重要だとしている。


2023年のIT支出の増減見通し(提供:ノークリサーチ)

 経常利益の増減見通しを業種別に見ると、例えば同じ製造業でも、経常利益の見通しが「減少」と回答した企業の割合は、加工製造業の方が組立製造業よりも高い。また、小売業と一般サービス業はどちらもコロナ禍の収束やインバウンドの復調などによって業績が改善すると捉えがちだが、経常利益の「減少」や「増加」の傾向は必ずしも同じではない。

 そこでノークリサーチは、エネルギーや原材料価格の上昇、国際情勢、円安、人材不足などの要因が、経常利益の増加と減少のどちらに影響を与えているかを分析した。例えば小売業と一般サービス業を比較すると、「エネルギーの不足や価格上昇」は、どちらの業種でも、店舗での光熱費負担増など経常利益の減少要因になっている。そのため同社は、コスト削減に寄与するIT活用提案の重要性が高まると予想している。


要因別にみた経常利益への影響(提供:ノークリサーチ)

 一方、「インバウンドの復調」や「コロナ禍の収束」は、小売業では経常利益の増加要因になっているが、一般サービス業ではその効果は小売業よりも小さい。さらに小売業では、必ずしも業界全体がインバウンドの恩恵を受けているわけではない。

 これに対して一般サービス業では、「国際情勢(米中対立など)」が経常利益の増加要因になっている。ノークリサーチでは、設備面や人材面のサービス需要が高まるという期待があるとしている。ただし一般サービス業では、「人材不足」が比較的大きな減少要因となっているため、少ない人材で業務を回す取り組みが求められるとしている。

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