国内企業の半数以上が「実践的な取り組みにまで至っていない」 IDCがESGに関する調査結果を発表:49%の企業で「経営層のESGへの関心が低い」
IDC Japanは、ESG経営への取り組みについて実態調査の結果を発表した。それによると、ESGに関して何らかの取り組みを始めている国内企業の割合は43.5%だった。
IDC Japanは2023年6月1日、ESG(Environmental, Social, and Governance)に関する実態調査の結果を発表した。これは、従業員規模が100人以上の国内企業510社を対象に、ESG経営の取り組み実態について調査した結果をまとめたもの。それによると、ESGに関して何らかの取り組みを始めている国内企業の割合は43.5%だった。ESGの取り組みを全く行っていない企業は20.4%で、その理由で最も多かったのは「経営層がESGへの関心が低い」(49.0%)だった。
投資は「データ活用」に
今後1〜2年の間で技術投資を行う必要性の高い領域について聞くと、「データプライバシー」が最も多く、11.2%。次いで「従業員エンゲージメント評価」(10.6%)、「ESG データ管理、収集と分析」(10.2%)と続いた。この点についてIDC Japanは「国内企業がESG経営に取り組むに当たって、データのセキュリティやデータの活用、取り組みに対するさまざまな評価と分析に関する技術領域に投資の重点を置いている」と分析している。
ESG経営実現のための課題については「技術不足」「予算不足」「ESGに関する専門組織や能力の欠如」が上位に挙がった。
IDC Japanの飯坂暢子氏(Software & Servicesリサーチマネージャー)は、「国内企業のITベンダーは、関連するステークホルダーを再認識した上で、自社のマテリアリティー(企業や組織が優先して取り組む課題)に沿って目標の設定と測定を行える技術の仕組みを構築し、ステークホルダーと議論を重ねながらESG経営を発展させ続けるべきだ」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Gartnerの2023年取締役向け調査から見える、企業のリスク選好と成長戦略、デジタル化の加速
経営リーダーは、取締役会が考える優先事項を理解すれば、活動と投資を自社の戦略的方向に合わせられる。 - Gartner、「サイバーセキュリティリーダーの役割が再構築の対象に」
Gartnerはサイバーセキュリティリーダーの役割を進化させる必要があるという見解を発表した。IT部門以外の幹部がサイバーリスクに関する説明責任を担うようになっていることに加え、エコシステムの分散化に伴い、サイバーセキュリティリーダーが直接コントロールできる意思決定の範囲が縮小しているためだ。 - 「有事対応が平時化」する時代に企業がIT-BCPへの取り組みを変革すべき理由
2019年来のコロナ禍において、企業の「事業継続計画」(BCP)への意識が高まっている。本稿では、日本企業におけるBCPへの意識の変化や、特にITリソースに注目したIT-BCPとデータ保護の在り方について、ニュートン・コンサルティングの内海良氏への取材から考える。