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半期に一度のメジャーアップデート、「Windows Admin Center 2306」の新機能と改善点――更新方法の変更には注意Microsoft Azure最新機能フォローアップ(197)

Microsoftは「Windows Admin Center(WAC)」の最新バージョン「WAC 2306」をリリースしました。最新バージョンでは、多くの新機能追加や改善が行われている他、既存のインストールの更新方法にも変更が加えられています。前バージョンのWAC 2211のサポートはWAC 2306リリースの30日後に終了するため、利用中の場合は早めに更新してください。

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「Microsoft Azure最新機能フォローアップ」のインデックス

Microsoft Azure最新機能フォローアップ

WAC組み込みの自動更新機能は削除

 Microsoftは2023年6月20日(米国時間)、「Windows Admin Center(WAC)」の最新のGA(Generally Available、一般提供)バージョン「WAC 2306」をリリースしました。

 WACは、Windows Server、Windowsクライアント、Windows ServerとMicrosoft Azureとのハイブリッド環境、そして2021年2月に正式リリースとなったハイパーコンバージドインフラストラクチャ「Azure Stack HCI」のセットアップと構成、管理に対応したWebベースの管理ツールです。今回リリースされたのは、その最新バージョンであるWAC 2306(バージョン2306、ビルド1.5.2306.14001)です。

 「Windows 10」「Windows 11」、またはWindows ServerにWACを新規インストールする場合は、以下のダウンロードリンクからインストーラーをダウンロードしてインストールします(画面1)。

画面1
画面1 WAC 2306のインストール後に表示される新着情報。新機能や改善点を確認できる

 既にWAC 2211を利用中の場合は、WACのサイトに接続すると「新しい更新プログラムが利用可能です。[設定]に移動してください」と表示されるので、「設定(歯車のアイコン)」の「更新」を開き、「今すぐダウンロード」をクリックしてインストーラー(WindowsAdminCenter2306.msi)をダウンロードしてインストールします(画面2)。

画面2
画面2 これまでのバージョンで利用できた組み込みのスケジュールによる自動更新機能は廃止。Windows Update経由で更新されるまで待つか、すぐに更新したい場合は、新規インストールの場合と同じMSIパッケージをダウンロードしてインストールする

 これまでのバージョンでは、WACに組み込みの自動更新機能によって、自動的にダウンロードされ、インストールがスケジューリングされ、オプションで「今すぐインストール」を選択することができましたが、この方式の更新機能は今回のバージョンから廃止されました。Windows Update(Microsoft Update)による自動更新については、引き続き提供されており、バージョン2206についてはリリースから2〜3週間後に利用可能になる予定です。

WDACで強化されたインフラストラクチャの管理機能がGA

 WAC 2306では、これまでのバージョンでプレビュー機能として提供されていた「Windows Defenderアプリケーション制御(WDAC)で強化されたインフラストラクチャの管理」機能が正式にサポートされました。

 WDACは、Windows 10/11および「Windows Server 2016」以降のWindows Serverが備える高度なセキュリティ機能であり、「アプリケーション制御ポリシー」を使用して、ユーザーに実行を許可するアプリケーションとカーネルで実行されるコードを制限することで、多くのセキュリティ脅威を軽減するものです。

 WAC 2306は、Windows PowerShellが「ConstrainedLanguage(制限付き言語)」モード(既定は「FullLanguage」モード)で実行されるように構成されたサーバやクライアントの管理をサポートします。その状態は管理対象の「概要」ページの「PowerShell言語モード」で確認することができます。

WAC 2306の新機能と改善

 この他、WAC 2306では、以下に示す新機能の追加や機能の改善が行われています。

[改善]「仮想マシン」ツールの改善

 クラスタ間の仮想マシンの移動、仮想マシンと記憶域の移動、仮想マシンの一覧をCSVとしてダウンロードする機能(画面3)、Webベースの仮想マシン接続(VMConnect)ウィンドウのポップアウト表示(画面4)、クラスタ上の非高可用性仮想マシンを高可用性として構成する機能の改善/追加や問題の修正が行われています。

画面3
画面3 仮想マシンの一覧をCSV形式でダウンロード
画面4
画面4 Webベースの仮想マシン接続(VMConnect)ツールをポップアウト表示可能に

[新機能]「ファイル&ファイル共有」ツールに「ファイルを編集」機能追加

 「ファイル&ファイル共有」ツールに「ファイルを編集」機能が追加され、テキストファイルやスクリプト、JSONファイルなどを作成、編集できるようになりました(画面5)。

画面5
画面5 「ファイル&ファイル共有」ツール内でテキストファイルの編集が可能に。ただし、日本語環境では文字コードに注意が必要(UTF-8として保存される)

 なお、テキストファイルは、文字コードUTF-8(BOMなし)として保存されます。日本語を含むANSIコードのテキストファイルを開いた場合、文字化けすることに注意してください。

[改善]コンテキストメニューの拡充

 「ローカルユーザーとグループ」「証明書」「ネットワーク」「デバイス」「ファイアウォール」「インストールされているアプリ」「レジストリ」の各ツールにコンテキストメニュー(右クリックで表示されるメニュー)が追加され、直観的な操作ができるようになり、使い勝手が向上しています(画面6)。

画面6
画面6 「証明書」ツールのコンテキストメニュー

[新機能]クラスタ対応「イベントビューア」

 「イベント」ツールに「ワークスペース」というプレビュー機能が追加されています。この機能を利用すると、全てのクラスタノードからのイベントをフィルターして、1つのコンソールでクラスタ全体のイベントを確認できます(画面7)。

画面1
画面1 ワークスペース(プレビュー)を作成すると、クラスタ対応のイベントビューアを作成できる

[改善]「クラスターマネージャー」の改善

 「クラスターマネージャー」に複数の改善が行われています。クラスタ機能レベルのアップグレード、「クラスター対応更新(CAU)」による単一ノードのAzure Stack HCIクラスタ(バージョン22H2)のアップグレードのサポート追加、「ボリューム」ツールによるボリュームの別サーバへの移動、「記憶域スペースとプール」に、「Status」「Health Status」「Capacity alert threshold」項目の追加などが行われています。

[改善]Azure ArcおよびAzure Stack HCIシステム向けの改善

 「サーバーマネージャー」や「クラスターマネージャー」の「概要」ページに「Azure Arc状態」項目が追加され、Azure Arcエージェントの状態を簡単に確認できるようになりました。

 また、Azure Stack HCIシステム向けの「診断」ツールが「クラスターマネージャー」に統合された他、Microsoftによるリモートサポートに使用される「Remote Support」ツール(拡張機能)が既定でインストールされるようになりました。

WAC in Azureポータル

 Azureポータルでは、Windows仮想マシンの管理のために「Windows Admin Center in Azure」(AdminCenter拡張機能)をインストールすることができ、Azureポータルに統合されたWACを使用してWindows仮想マシンをリモート管理できます。

 WAC in Azureは数カ月ごとに継続的に新バージョンがリリースされており、WAC 2306の新機能や改善の一部は既に利用可能になっているものもあります。WAC 2306リリース時点のAdminCenter拡張機能のバージョンは「0.0.0.316」で、少なくとも「ファイルを編集」機能やコンテキストメニューの機能を備えています。

 AdminCenter拡張機能は、自動アップグレードをサポートしていないため、既に以前にインストール済みの場合はAzure仮想マシンの「設定|拡張機能とアプリケーション」からAdminCenter拡張機能をアンインストールし、完全にアンインストールされてから「設定|Windows Admin Center」から再度インストールすることで、最新バージョンにアップグレードすることができます(画面8)。

画面8
画面8 WAC in Azureを提供するAdminCenter拡張機能。自動アップグレード機能はないため、古いバージョンの場合はここからアンインストールして、「設定|Windows Admin Center」から再度インストールする

 WAC in Azureのリリース履歴と新機能については、以下のドキュメントで確認できます。現時点ではバージョン0.0.0.316の情報は反映されていませんが、WAC 2306のアナウンスによると、WAC in AzureでAzure Stack HCIクラスタに対するAzure Active Directory(Azure AD)認証のサポートが追加されています(これまでもWindows ServerについてはAzure AD認証がサポートされていました)。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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