「AWS AppFabric」が一般提供開始、幅広いSaaSをノーコードで接続し、管理や保護を効率化：生成AIで生産性向上も実現

Amazon Web Servicesは、幅広いSaaSアプリケーションや生産性スイートをコーディングなしで簡単に接続し、管理やセキュリティを向上させることができる新サービス「AWS AppFabric」を発表した。将来のリリースでは、「Amazon Bedrock」に基づく生成AI機能も利用可能になる。

[＠IT]

　Amazon Web Services（AWS）は2023年6月28日（米国時間）「AWS AppFabric」（以下、AppFabric）を発表した。AppFabricは、幅広いSaaS（Software as a Service）アプリケーションや生産性スイートをコーディングなしで簡単に接続し、管理やセキュリティを向上させることができる。将来のリリースでは生成AI（人工知能）機能を用いて、これらのアプリケーションをより生産的に活用できるようになる。

　AppFabricは「Microsoft 365」「Google Workspace」に対応しており、AppFabricに統合されているSaaSアプリケーションには、「Asana」「Atlassian Jira Suite」「Dropbox」「Miro」「Okta」「Slack」「Smartsheet」「Webex by Cisco」「Zendesk」「Zoom」がある。

　また、AppFabricと互換性があるセキュリティツールとして、「Logz.io」「Netskope」「NetWitness」「Rapid7」「Splunk」がある。

　企業のITチームやセキュリティチームはAppFabricにより、これらのSaaSアプリケーションなどを1カ所で接続、管理できる。Management Consoleで数回クリックするだけで、これらのアプリケーションを接続することが可能だ。AppFabricは、接続された全てのアプリケーションについて、標準化されたセキュリティおよび運用データのセットを自動的に提供する。そのため、ITチームやセキュリティチームは、ポイントツーポイントの統合の構築、それらの統合の管理、異種セキュリティデータの分析を行う必要がない。

　またAppFabricでは、これらのSaaSアプリケーションを、互換性のあるセキュリティツールに接続し、自社のセキュリティ態勢を向上させることもできる。AppFabricは、オープンコミュニティーのスキーマである「Open Cybersecurity Schema Framework」（OCSF）を用いてセキュリティデータを集約および正規化し、これらのセキュリティツールからデータにアクセスできるようにする。

　ITおよびセキュリティチームはOCSFを利用することで、データをより簡単に分析し、共通のポリシー、アラートおよび複数のSaaSアプリケーションにわたる統一ルールを設定できる。このことも、アプリケーションのポイントツーポイントの統合と管理を回避し、より生産的かつ安全に作業するのに役立つ。

　AWSのアプリケーション担当バイスプレジデントを務めるディリップ・クマー氏は、次のように述べている。「AWSの顧客は、従業員の生産性をサポートする強力なアプリケーションを構築、使用しているが、アプリケーションの統合、管理、セキュリティ確保が、ITチームやセキュリティチームの大きな悩みの種になっている。何十ものカスタムポイントツーポイント統合を構築し、正規化せずにデータと使用状況を監視することは、長期的には現実的ではない。AppFabricは、広く使われているアプリケーションを、コスト削減、生産性向上、セキュリティ改善に役立つ方法でデプロイし、拡張するためのシンプルなソリューションだ」

　AppFabricは、米国東部（バージニア北部）、欧州（アイルランド）、アジアパシフィック（東京）の各リージョンで2023年6月28日から一般提供が開始された。近いうちにより多くのAWSリージョンで提供開始される予定だ。

Amazon Bedrockによる生成AI機能

　AppFabricでは間もなく、「Amazon Bedrock」に基づく生成AI機能も利用可能になる。Amazon Bedrockは、基盤モデルを用いて生成AIアプリケーションを簡単に構築およびスケーリングできるサービスだ。

　新しい生成AI機能は、共通のAPIレイヤーから大規模言語モデル（LLM）、複数のSaaSや生産性アプリケーションのコンテンツおよびAppFabricの統合機能を使用して、複数アプリケーションにわたる提案、タスク実行、洞察の生成を自動的に行い、ユーザーが望むアプリケーション内で結果を返す。ユーザーはこの機能を利用して時間を節約し、重要なタスクに集中できる。