ランサムウェア被害を受けると、ユーザーの75%は競合他社に乗り換える可能性 Object First調査:企業のデータ保護への消費者の懸念増大
ストレージバックアップアプライアンスを手掛けるObject Firstが実施した消費者調査によると、消費者の75%は、商品やサービスを利用しているベンダーがランサムウェア攻撃を受けた場合、競合他社に乗り換える用意がある。
ストレージバックアップアプライアンスを手掛けるObject Firstは2023年6月26日(米国時間)、サイバー脅威の主流となっているランサムウェア攻撃が消費者データに与える影響を理解するために実施した1000人の消費者に対する調査結果を発表した。
それによると、消費者の75%は、商品やサービスを利用しているベンダーがランサムウェア攻撃を受けた場合、競合他社に乗り換える用意がある。また半数は、ランサムウェア攻撃を恐れて、個人情報をベンダーと共有することに消極的だ。
Object Firstは、この調査では、企業におけるデータの保護、バックアップ、リカバリー戦略に対する消費者の懸念が高まり、要求が高度化していることが浮き彫りになったと述べている。同社は、上記以外の主な調査結果として以下を挙げている。
- 消費者の55%が、包括的なデータ保護対策を講じている企業を支持している。これらの対策には、信頼性の高いバックアップとリカバリー、パスワード保護、IAM(IDおよびアクセス管理)などが含まれる
- 消費者の81%が、ランサムウェアに対する強固なレジリエンス(回復力)を持たない企業にデータを預けることについて、「非常に怖い」または「心配」と答えている。さらに、ランサムウェア攻撃が発生した場合、消費者の3人の1人が、被害企業がレジリエントなバックアップ/リカバリー戦略を実行している証拠を要求すると答えており、30%が、被害企業のデータ保護計画への信頼を完全に失うとしている
- 消費者の40%は、企業が消費者データを適切に保護する能力に懐疑的だ。また、2回目のランサムウェア攻撃が発生した場合、消費者の61%が、被害企業のデータ保護およびリカバリー対策への否定的な認識を強めるとしている
- Z世代の37%は、ランサムウェア攻撃を受けた企業に謝罪を求める。これは金銭的な補償を求めるZ世代の割合よりも12ポイント高い。また、ベビーブーマー世代の74%は、ベンダーがランサムウェア攻撃を複数回受けた場合、回復不能なほど信頼が損なわれると答えているが、Z世代では、この割合は34%にとどまる
Object Firstは、これらの調査結果は、企業が予防的かつ効果的なバックアップ/リカバリー計画を実行する必要があることを示していると指摘する。
「企業はこれまで以上に多くのデータを生成、消費するようになっており、消費者がより強力な保護を求めているのは不思議ではない。ランサムウェア攻撃を防げれば理想的だが、それは常に実現できるとは限らない。企業は、消費者データを現代の脅威から守ることを優先しなけければならず、それは強固なデータレジリエンスをサイバーセキュリティ戦略の中核に据えることで達成できる」とObject Firstの最高経営責任者(Chief Executive Officer)であるデビッド・ベネット氏は述べている。
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