「AIへの対応はCIOの最優先課題」Gartnerが指摘:「AIの活用方針とAI対応シナリオを策定する必要がある」
Gartnerは、生成AIについて「AIへの対応はCIOの最優先課題であり、AIの活用方針とAI対応シナリオを策定する必要がある」と指摘した。
Gartnerは2023年11月6日(現地時間)、同社が開催したイベントで行った生成AI(人工知能)関する発表内容を公開した。イベントで登壇した特別バイスプレジデントアナリストのメアリー・メサリオ氏は生成AIについて「生成AIは単なるテクノロジーでも、単なるビジネストレンドでもない。人間とマシンがどのように相互作用するかにおける重大なシフトだ」と語った。
同社のシニアディレクターアナリストであるガブリエラ・ヴォーゲル氏は「マシンは私たちのツールからチームメイトへ進化している」と述べる。
「Gartnerは、2025年までに生成AIが世界の90%の企業の労働力パートナーになると予測している」(ヴォーゲル氏)
ヴォーゲル氏は、「CIO(最高情報責任者)がAIをどのように形づくるか、そしてAIがわれわれをどのように形づくるかについて、大きな役割を担っている」と付け加える。AIの可能性を解き放つためには、「AIの活用方針を定める」ことと「AIに備える」ことの2点を優先する必要があるという。
AIの活用方針を定める
Gartnerによると、AIには日常的なAIとゲームチェンジャー的なAIの2つがあるという。日常的なAIは生産性に焦点を当てており、労働者が行っていることをより速く、より効率的に行えるようにする。メサリオ氏は日常的なAIについて「誰もが同じツールにアクセスできるようになるため、日常的なAIでは持続可能な競争優位性は得られない。日常的なAIは、すぐに当たり前のものになるからだ」と主張する。
一方で、ゲームチェンジャー的なAIは創造性に焦点を当てているという。
「ゲームチェンジャー的なAIによる製品やサービス、または中核機能が新たな成果を生み出す。ビジネスモデルや業界全体が、ゲームチェンジャー的なAIによって変革されるだろう(メサリオ氏)
「ますます多くのAI機能が、IT部門と社内のさまざまな部門によって共同で提供されるようになる。成功するためには、経営陣全体が関与する必要がある」(ヴォーゲル氏)
CIOがバックオフィス、フロントオフィス、新商品/サービス、新コア機能の4つの領域における生成AI活用の機会とリスクを検証することで、CEOやCxOがAIの複雑性を克服し、組織がAIの活用方針を策定する際の手助けになるという。
AIに備える
AIが人間とマシンの関係を変革し続けるなか、CIOはこの変化の本質を積極的に形作る必要があるという。人間とマシンが相互作用するこの新しい時代には、多くの予測不可能な結果が待ち受けているからだ。
「テクノロジーの決定は、もはやそれだけにとどまらず、技術的、経済的、社会的、倫理的な意思決定が同時になされる」とメサリオ氏は言う。
「CIOやITリーダーには『灯台の原則』が必要だ。これはAIについての方向性を示し、人とマシンの関係性において、何を受け入れ、何を受け入れないかを明確にするものだ」(メサリオ氏)
しかし、灯台の原則やAIの明確なビジョンを確立している組織はほとんどない。同社が2023年6月に606人のCIOとテクノロジーリーダーを対象に実施した調査によると、AIビジョンステートメントを策定している組織はわずか9%で、回答者の3分の1以上はAIビジョンステートメントを策定する予定がないと回答している。
同社は今後1年以内に生成AIを迅速かつ安全に導入するためには、次の3つのことを行う必要があるとした。
- AIへ対応するための原則を策定する
- データをAI対応にする
- AIに対応したセキュリティを導入する
メサリオ氏は「AIを活用したビジネスの時代は、事前の計画がなければ意図しない結果を招くだろう。CIOにより、進むべき道を照らすことが必要だ」と主張する。
「この変革に対応するために、CIOは経営幹部と協力して、日常的なAIやゲームチェンジャー的なAIの活用方針を策定し、AIに対応した原則、データ、セキュリティを確立する必要があるだろう」(メサリオ氏)
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