生成AIブームは地政学リスクや為替変動リスクをものともしない IDCが国内ソフトウェア市場を予測:業務へのAI適用やデジタルCX、企業トラストの拡大など
IDC Japanは、国内ソフトウェア市場の実績と予測を発表した。2023年上半期の国内ソフトウェア市場規模は、対2022年同期比で9.5%増の2兆2419億2000万円。2027年の市場規模は6兆2346億円に達する見込みだ。
IDC Japanは2023年11月22日、国内ソフトウェア市場の実績と予測を発表した。同社は2023年上半期(2023年1〜6月)の国内ソフトウェア市場規模を、対2022年同期比で9.5%増の2兆2419億2000万円と推定している。
2024年以降、業務へのAI適用への投資が加速
2023年上半期は、生成AI(人工知能)ブームに関連し、企業でのAI活用への関心の上昇、ソフトウェアモダナイゼーションの要求、セキュリティインシデントの増加などによって国内企業のソフトウェア投資を押し上げ、国内ソフトウェア市場は堅調に成長したとIDC Japanは分析している。
特に注目を集めたのは「データ活用を通じた業務の効率化や自動化」「人的資本投資、環境投資などの非財務側面の強化による企業価値の拡大」「サイバーセキュリティ、ガバナンス対策のためのソフトウェア投資」など。また、ソフトウェア市場の中でパブリッククラウドサービスの売り上げのシェアが拡大しており、対2022年同期比で22.4%増の8456億4600万円で、全ソフトウェア市場の37.3%を占める規模に成長した。
2024年以降は、「業務へのAI適用」「デジタルCX(Customer Experience)」「企業トラスト」の拡大に向けたソフトウェア投資が継続する見込み。IDC Japanは2022〜2027年の年間平均成長率(CAGR)を8.0%とみており、「2027年の市場規模は6兆2346億円に達する」としている。セグメント別に2022〜2027年のCAGRを見ると、アプリケーション開発/デプロイメント市場は14.5%、アプリケーション市場は5.3%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場は5.5%とIDC Japanは予測している。
IDC Japanの眞鍋 敬氏(Software/Service Solutions グループディレクター)は、「国内や諸外国の経済状況、為替変動や戦争/政変など国内ソフトウェア市場に与える阻害要因はあるが、生成AIを含むAIブームはそれらを上回る促進要因になるだろう。企業は自社ワークフローにAIを組み込むためのユースケースとアーキテクチャを積極的に検討、開拓し、デジタル競争力を強化するべきだ」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「世界のDX支出は2桁成長を続ける」IDCが予測 米国に次いでアジアがDX支出2位に?
IDCはDXの今後5年間の年平均成長率を16.1%と予測した。日本、中国を含むアジア太平洋地域では第3のプラットフォームテクノロジーと、カスタマーエクスペリエンスの分野への投資が進む見込み。 - 世界AIソフトウェア市場、2022年の640億ドルから2027年には約2510億ドルに IDC予測
IDCによると、世界のAIソフトウェア市場は2022年の640億ドル規模から年平均31.4%のペースで成長し、2027年には約2510億ドル規模に達する見通しだ。 - 2023年のマネージドサービス市場、全世界で12.7%成長 CiscoとCanalys
Cisco Systemsと調査会社のCanalysは、世界のITマネージドサービス市場の予測結果を発表した。2023年のマネージドサービス市場は全世界で12.7%の成長が予想され、4720億ドルに達すると予測した。