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テクノロジーロードマップをビジネスに結び付ける4つのステップGartner Insights Pickup(337)

ロードマップの価値は、テクノロジーをビジネス目標と結び付けることにある。本稿では、ステークホルダーにとって価値のあるものにする4つのステップを紹介しよう。

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ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Insights」などのグローバルコンテンツから、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

ロードマップの価値はテクノロジーをビジネス目標と結び付けることにある

 テクノロジーロードマップの適切な範囲や目的、内容、ビジュアル表現は、見せる相手によって異なる。だが、以下の4つのベストプラクティスは、ビジネスモデルをサポートし、目標を推進するために、テクノロジーロードマップを全体として効果的に作成、活用するのに役立つ。


(出所:Gartner)

テクノロジーロードマップはさまざまな形を取るが、4つのステップを踏むことでステークホルダーにとって価値のあるものになる

 以下のように、テクノロジーロードマップは、さまざまな分野の意思決定に役立つように、さまざまなスタイルで表現される。

  • 先進テクノロジーロードマップ

 自社に関連する可能性のある先進テクノロジーの進化と潜在的な影響を追跡する。適切なデジタル基盤を構築することで、ITリーダーが導入に備えるのに役立つ。また、テクノロジープロデューサーが適切なスピードと規模で、イノベーションをポートフォリオに統合できるようにする。

  • テクノロジーライフサイクル管理ロードマップ

 アプリケーションとインフラに対する実施中および計画中の変更を追跡し、アーキテクチャオーナーがテクノロジーポートフォリオのどの分野を最適化するか、合理化するかを決定できるようにする。

  • テクノロジー導入ロードマップ

 新しいテクノロジーの導入計画を支援する。IT部門と、導入に関連するビジネス部門のステークホルダーに、実施中および計画中のプロジェクトの概要を示し、両者が相互依存関係を管理するのに役立つ。

ステップ1:企業戦略を特定し、それに沿ってテクノロジー戦略を立てる

  • ロードマップは企業のテクノロジー戦略の延長線上になければならず、テクノロジー戦略は企業のビジネス戦略とともに進化する。ビジネス戦略で目指す個々のビジネス成果と、その達成を支援する明確なテクノロジー成果を対応付ける。例えば、顧客サービスの応答時間を短縮するテクノロジーは、顧客満足と顧客体験に関する目標に貢献する
  • テクノロジー成果とビジネス成果のこうしたつながりを、明確で簡潔なIT戦略計画としてまとめ、ビジネス成果の推進に必要な取り組みと、支援テクノロジーおよび機能を文書化し、それらに基づいてロードマップを作成する

ステップ2:将来、必要となるテクノロジーアーキテクチャを判断する

  • テクノロジーアーキテクチャの将来計画を策定する。この計画には、自社がビジネス成果を達成するために、今後数年間にモダナイズまたは投資しなければならないテクノロジーを含める。また、ビジネスに必要な新機能と、より優れたテクノロジーを必要とする既存機能を特定する
  • 現在と将来のビジネス機能マップを作成する。この作業では、エンタープライズアーキテクトとビジネスリーダーが、ITリーダーとともに主要なステークホルダーとなる。これらのステークホルダーの連携が不十分だと、ボトムアップのテクノロジーアプローチに陥り、アーキテクチャが将来のビジネス機能やニーズに対応できなくなる恐れがある

2025年までに、ビジネス成果に焦点を当てたテクノロジーロードマップを使用するCTO(最高技術責任者)の80%は、テクノロジーにビジネスや顧客のニーズを適合させることで、従業員と顧客の満足度スコアを20%向上させる見通しだ。(出所:Gartner)

ステップ3:ステークホルダーのタイプごとに異なるロードマップを作成する

  • テクノロジーロードマップは、ステークホルダーが行う必要があるテクノロジー関連の意思決定の内容に応じて、形式と盛り込む詳細や情報を変えなければならない
  • 数種類のロードマップを作成することが、重要なベストプラクティスだ。そうすれば、複雑になり過ぎる単一のテクノロジーロードマップを作らずに済むからだ

ステップ4:ステークホルダーと協力し、ロードマップの妥当性を確保する

  • ロードマップに含める情報量と表示する属性を、ステークホルダーが意思決定に必要と考える量や内容に限定する
  • 定期的な更新に努める。特に、戦略の転換やビジネス、テクノロジーのリスクプロファイルの見直しが必要となる事態が発生した場合はなおさらだ。安定したビジネス状況でも、テクノロジーの変化のペースが速いため、ロードマップは定期的に(年1回以上)見直す必要がある

背景

 Gartnerのディレクターアナリストのサマンサ・サール(Samantha Searle)氏はこう話す。

 「テクノロジーロードマップはCTOが責任を持つことが多いが、多くの企業がビジネスリーダーとITリーダーがテクノロジー投資の優先順位を決定するのに役立つ、的確で効果的なロードマップの作成に苦労している。ベストプラクティスに従うことで、ビジネス目標を後押しし、ビジネスと顧客のニーズをサポートする機会を創出するテクノロジーの決定を、ロードマップが促進する可能性が高まる」

同僚に伝えるべき3つのこと

  1. テクノロジーロードマップは、種類もビジュアルスタイルもさまざまだ。見せる相手に最適な形式を選択する必要がある
  2. テクノロジーロードマップは全て、自社のビジネス戦略に沿って作成しなければならない
  3. この視点は、ステークホルダーがどのテクノロジー投資が自社のビジネスモデルやビジネス目標を後押しするかを判断し、関連するスケジュールを決定するのに役立つ

要約

  • 優れたテクノロジーロードマップは、投資の優先順位付けに役立つ
  • ロードマップを作成、使用する際は、先述の4つのベストプラクティスを考慮する必要がある

出典:Why and How to Create and Use Technology Roadmaps(Insights)

筆者 Jackie Wiles

Content Marketing Manager


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