2028年までに企業の75%がAIコードアシスタントを利用 ガートナー:AIの価値を最大化するためにROIの捉え方を変える必要がある、と提言
Gartnerは「ソフトウェアエンジニアのAIコードアシスタント使用率」に関する予測を発表した。それによると「2028年までには、企業の75%がAIコードアシスタントを利用するようになる」という。
Gartnerは2024年4月11日(米国時間)、「ソフトウェアエンジニアのAIコードアシスタント使用率」に関する予測を発表した。それによると、2023年初頭時点では10%未満の“AIコードアシスタント利用率”が2028年には75%まで上昇するという。
AIコードアシスタントの価値はコスト削減だけじゃない
同社が2023年第3四半期(10〜12月)に実施した調査によると、2023年時点で63%の企業がAIコードアシスタントを導入している(試験的な導入含む)ことが分かった。
GartnerはAIコードアシスタントについて次にように述べている。
「AIコードアシスタントはコードの生成や補完にとどまらず、多くのことができるようになる。ブレーンストーミングを活性化させたりコードの品質向上に貢献したりすることで、開発者の効率を向上させられる。いわば『コラボレーションアシスタント』として、開発者がプログラミングのフレームワーク全体で継続的にスキルと習熟度を高める支援をする。こうした動きはエンジニアの仕事に対する満足度を高め、定着率も上がる。そのため、離職に伴うコストも削減できるだろう」
Gartnerのフィリップ・ウォルシュ氏(シニアプリンシパルアナリスト)は「ソフトウェアエンジニアリングのリーダーは、AIコードアシスタントを展開する際に、ROI(投資利益率)を見極め、ビジネスケースを構築しなければならない。しかし、従来のROIの考えでは『どれだけコストを削減できるか』といった指標で判断しなければならず、そうした狭い視点では、AIコードアシスタントの価値を十分に捉えられない」と指摘している。
Gartnerは「AIコードアシスタントの価値を最大限に引き出すには『ROIの捉え方』から変えなければならない」と提言。ソフトウェアエンジニアリングのリーダーは、ROIを「コスト削減」から「価値創出」と切り替える必要がある、と述べている。
AIコードアシスタントの価値。上辺では「コーディング速度向上」(Faster coding)や「作業時間短縮」(Time savings)といった程度だが、水面下には「開発者エクスペリエンス向上」(Enhance developer experience)や「迅速な市場投入」(Go to market faster)などの価値が埋もれている(提供:Gartner)
ウォルシュ氏は「『AIコードアシスタントによってコード生成にかかる時間がどれだけ節約できるか』。こうした考えは、より強力なバリューストーリー(価値提供のシナリオ)を構築するための良いきっかけになる。ソフトウェアエンジニアリングのリーダーは、企業全体に対するその価値を伝えるために、AIコードアシスタントと価値提供を結び付け、組織全体にどのような貢献ができるのかを分析する必要がある」としている。
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