校長先生に「マジで行ってほしい」って言われて日本に留学した:Go AbekawaのGo Global!〜ダニーさん from イギリス(前)(3/3 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はアクトビのフロントエンドエンジニア、Daniel Parsons(ダニエル・パーソンズ)さんにお話を伺う。両親の期待もあり、医者を目指して勉強を頑張ったが、そこで得たのは「本当にやりたいことは何だろう」という問いだった。
「取りあえず」で再び日本へ
阿部川 3カ月の留学が終わり、イギリスに戻ります。
ダニーさん はい。大学4年生だったので、将来のことを考えていました。当時は何をしたいのかはっきりしていなくて。ただ、したいことは分からなかったけど、日本は楽しかったことははっきりしていました。それで「取りあえず1年でいいから日本に住もう」と思い、英語の先生の仕事を見つけて来日しました。
阿部川 そのときにもう、日本語を話せたのですか?
ダニーさん 会話はなんとかですが、読み書きがまだまだでしたね。ですから、勉強して「日本語能力試験」のN1認定を取りました。2020年1月ぐらいのことです。
阿部川 2020年といったら、コロナ禍が始まりかけている時期ですね。
ダニーさん そうですね、2020年は夏の試験が中止になったので、いいタイミングで取れたなと思います。
阿部川 本当にそうですよね。それで、N1を取って、英語の先生をやっていたら、だんだんコロナ禍が深刻になっていったわけですね。授業はオンラインですか?
ダニーさん オフラインもオンラインもやりました。最初は英会話学校で働いていて、その後小学校で働くことになりました。でもコロナ禍になって学校も休みになりました。最初はオンラインで授業ができなかったので、完全に休みでした。そのとき、将来の仕事として何をすればいいのか考えて。自由時間がたくさんあるので何か勉強したいと思い、そこからプログラミングに興味を持ちました。
阿部川 他にも選択肢はたくさんあると思いますが、プログラミングを選んだのはなぜでしょうか。
ダニーさん 最初からプログラミングにこだわったわけではありません。休みが結構長かったので、いろいろなことを試したいと思っていました。
仕事につながらなくてもいいから何か勉強しようと考えてスペイン語を勉強し出したら、Webサイトやアプリケーションなどの教材がたくさんあることを知り、「自分でそういう教材(Webサイト)を作れたらいいのに」と思いました。
そんなことを考えていた時、友達に誘われてプログラマー向けのイベントに行きました。そこでいろいろな人に「全然できますよ」「やってみればいいじゃないですか」と励まされたのです。
阿部川 それはいいイベントに行きましたね。周りの人も素晴らしい。「絶対無理だよ」とか言わないで、「やってみれば」という感じだったんですね。いいですね。それでプログラミングの勉強を始めるのですが、ほとんど独学ですよね。
エンジニアがメインのイベントに行くと、活気というか前向きなエネルギーをもらえる気がします。できるかどうか分からないけどやってみたいと思う。そんなとき背中を押してくれる仲間は頼もしいですね。
ダニーさん そうですね。そこから「1年でプログラマーになって仕事を見つける」という目標を立てて勉強を始めました。絶対にできないとは思いましたが、まずはやってみようと。2021年は毎日必死で勉強しましたね。
阿部川 すごいですね。その間も先生の仕事はしていたのですよね。
ダニーさん はい、もちろん。仕事は毎日8時半から16時15分までなのですが、不思議なことに、それを超えると叱られちゃうんです。恐らく契約内容に関する理由なのだと思いますが「絶対に残業しないでください」と言われていました。「だったら早く帰って勉強しよう」と思い、毎日16時15分ぴったりに仕事を終わって、急いで帰り16時半から勉強みたいな感じでした。16時半から20時半まで勉強したら4時間じゃないですか。それを5日間やれば週に20時間勉強できるわけです。
阿部川 社会人になって何が大変って、そういうまとまった時間が取れないんですよね。集中して勉強できる貴重な時間でしたね。
医者を目指し、挫折したことはネガティブなことかもしれない。しかし、ダニーさんの場合、それがきっかけで「どうせやるなら楽しく」という思いが生まれ、それがさまざまな縁を結び、日本で仕事をすることにつながった。後編はダニーさんの仕事に対する思いについて伺った。
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