校長先生に「マジで行ってほしい」って言われて日本に留学した:Go AbekawaのGo Global!〜ダニーさん from イギリス(前)(2/3 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はアクトビのフロントエンドエンジニア、Daniel Parsons(ダニエル・パーソンズ)さんにお話を伺う。両親の期待もあり、医者を目指して勉強を頑張ったが、そこで得たのは「本当にやりたいことは何だろう」という問いだった。
「やるなら好きなことをしたい」とウェールズ音楽大学に入学
ダニーさん イギリスは高校で音楽を勉強していないと音楽の大学には入れないのです。だから音楽の道は諦めていたのですが、ちゃんと調べてみたら、高校で音楽を勉強していなくてもポートフォリオがあれば入れる音大もあることが分かりました。その中の一つが、ウェールズ音楽大学でした。
そのころもバンドは続けていて「せっかくだから録音しよう」と思ったとき、どうせなら「ここはちょっとバイオリンほしい」とか「トランペットやってほしい」とかいろいろアイデアが出てきて、それを楽譜に書いていました。その楽譜をポートフォリオとして学校に送りました。
決め手は面接ですね。面接というと普通は緊張してしまうと思うのですが、好きなことだったら何でも答えられるじゃないですか。それで面接がとっても楽しくて。ウェールズ音楽大学への入学を決めました。
阿部川 大学では、何を勉強したのですか?
ダニーさん 作曲と電子音楽です。録音などのエンジニアリングも含めた、英語でいう「プロダクション」(Production)です。「Python」でコードを書いて、ライブでギターの音をマイクで拾って、PCで加工して……といったこともやっていました。作曲はクラシックや現代音楽をやっていました。そちらに集中するため、バンド活動はやめました。
阿部川 将来はミュージシャンになろう、などと思っていたのですか。
ダニーさん それは全然考えていませんでした。大学で4年間勉強するなら好きなことをしないと駄目だと考えていたので、好きな音楽の勉強しようと。その先のことは正直、考えていませんでした。
阿部川 なるほど、音楽大学でも卒業論文や卒業作品は作成するのですか?
ダニーさん はい。論文も書きましたし、作品も作りました。卒業する前に、作曲した作品をオーケストラに演奏してもらいました。指揮をするチャンスがあったのですけど、「いやいや、無理です」と言って、他の人にやってもらいました。
阿部川 やればよかったのに(笑)。
ダニーさん ちょっと今でも後悔しています(笑)。
阿部川 大学時代に来日されていますね。これは留学になるのでしょうか。
ダニーさん そうですね。2017年――大学4年生の1学期、9月から12月までの3カ月間、大阪音楽大学に留学しました。
留学することになったいきさつは、ちょっと変わっていて。ウェールズ音楽大学の校長先生にある日「ダニーさん、日本に行きませんか」と声を掛けられたのです。ウェールズ音楽大学と大阪音楽大学は姉妹校で、交換留学の制度がありました。日本からヨーロッパに行きたい学生は結構多いのですが、イギリスから日本に行って勉強する人はあまりいなかったみたいで、「10年間に1回誰か行かないと姉妹校の関係がなくなるので、マジで行ってほしい」って頼まれたのです。
交換留学は通常、寮費などが必要なりますが、そうした事情があるので飛行機代だけ払えば他は全部払わなくていいと言われたのです。だったら、まあ、行くよと思いまして(笑)。
阿部川 素晴らしい。先生から「ダニーさんなら適任だ」と思われていたということですよね。
ダニーさん どうなんでしょうか、すごく軽い感じでしたよ(笑)。日本にはないと思うのですけど、大学の中にバーがあって、そこで飲んでいるときに先生もやってきて、「ダニーさん、日本行かない?」みたいな感じだったので、いいタイミングでバーにいたなと思いました。
確かに条件は良かったかもしれないですが、こうした機会にぱっと飛び付けるのがダニーさんの長所なのでしょうね。私なら「異国の地で何かあったらどうしよう」と駄目だったときのことばかり考えそうです。
阿部川 それはナイスタイミングでしたね。大阪音楽大学ではどんな勉強をしたのですか。
ダニーさん せっかく日本にいるので日本の伝統音楽を勉強しました。お琴や三味線も勉強したんですよ。発表会にも参加しました。正座が難しくて、発表会では20分間正座しないといけないので、発表会の1カ月前から毎日正座を練習しました。
阿部川 なかなかの経験でしたね(笑)。
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