データセンター向けストレージ市場、2028年までに1030億ドルに急成長 要因は?:2023年は経済的課題とIT支出の減少などを理由に低迷
Omdiaは、データセンターストレージ市場についての予測を発表した。2023年のデータセンターストレージ市場は低調だったが、2028年までに売上高が1030億ドルに増加すると予測している。
Omdiaは2024年8月15日(英国時間)、データセンターストレージ市場についての予測を発表した。それによると、データセンターストレージの売上高は、堅調な成長とストレージの平均販売価格の上昇を反映し、2028年までに1030億ドルに増加するという。この予測には、ストレージアレイとサーバ拡張の両方によるデータセンター外部ストレージ収益が含まれている。同社は発表した予測と調査について、次のように解説している。
2023年の低迷とその後の売上規模拡大の要因は?
2023年のデータセンターストレージ市場は、経済的課題とIT支出の減少などにより低迷した。通年のストレージ収益は530億ドルを記録し、前年比で16%減少している。
データセンター事業者のハードウェア支出が一時的にストレージからシフトしたため、2023年のODM(ODM:Original Design Manufacturing、メーカーへの直接発注)の売上は30%以上減少した。これとは対照的に、従来型ストレージに注力するOEMベンダーは、前年比1桁台の減少はあったものの、比較的堅実に業績を維持している。
2023年は、クラウドサービスプロバイダーが予算の大部分を高価なGPU(Graphics Processing Unit)の購入に割り当てたため、クラウドストレージの出荷が制限された。しかし、ストレージ市場は、幾つかの重要な要因によって復活の準備が整っている。Omdiaは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進行、データ量の急増、AI(人工知能)の進歩、ストレージの近代化が急務となっていることなどが、再成長の原動力になると予想している。
「産業がますますデータへの依存を高めているため、ストレージ市場の低迷は短期間で終わる可能性が高い。さまざまな要因が総合的に作用してストレージ市場を活性化することで、成長軌道への復帰を確実なものにするだろう」(Omdia)
Omdiaのデータストレージ担当主席アナリストであるデニス・ハーン氏は、次のようにストレージ市場内の動きを振り返った。「2023年には、特にクラウドサービスプロバイダーのインフラ向け出荷で成長が鈍化するものの、予測期間を通じて成長は回復する見込みだ」
Omdiaは「ストレージとデータ管理は現代のデジタル企業にとって戦略的な要素であり、ストレージへの長期的な投資が継続されると考えている」と述べている。
「ストレージベンダーは、従量課金アプローチを採用し、単なるストレージではなくデータ全体のニーズに焦点を当てることで、よりクラウドに近い調達モデルに変わりつつある。また、ランサムウェア対策やAIを活用したデータセット作成は、ストレージソリューションに不可欠な機能へと移行している」(ハーン氏)
Omdiaの2023年市場レビューでは、ODMベンダーが32%の売上高シェアで首位を維持し、Dell EMCが20%、Huaweiが7%で3位に続いた。NetAppは5%で4位を確保し、Lenovoは4%の市場シェアでトップ5入りした。
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