オープンソースのRust製コードエディタ「Zed」、ClaudeベースのAIアシスタント機能「Zed AI」を発表：「プロンプトエンジニアリングのためのワークスペースとして活用できる」

オープンソースのRust製コードエディタ「Zed」を提供するZed Industriesは「Zed AI」を発表した。初期リリース中はZedにサインインすることで無料で利用できるという。

[＠IT]

　オープンソースのRust製コードエディタ「Zed」を提供するZed Industriesは2024年8月20日（米国時間）、「Zed AI」を発表した。Zed AIは、自然言語のプロンプトを通じてZed上でのコード生成、変換などコーディングタスクを支援する機能だ。

　「Zed AIは、Anthropicの『Claude 3.5 Sonnet』を基盤としている。Claudeの『Prompt Caching』を活用することで、数千行のコードをコンテキストウィンドウに含めても、応答が非常に高速であり、コストも削減している。初期リリース中はZedにサインインすることで無料で利用できる」と、Zed Industriesは述べている。

Zed AIでコーディング体験はどう変わるのか

　Zed Industriesによると、Zed AIでは以下の2種類の機能を組み合わせて開発者を支援するという。

アシスタントパネル

　アシスタントパネルはZedでAIモデルと対話できる場所であり、AIモデルへのリクエスト全体が表示される。一般的なチャットインタフェースとは異なり、テキストエディタとしても機能する。画面上に表示されるコードスニペット、会話履歴、ファイルの内容が全てテキストとして表示されるため、リクエストの任意の部分を確認、編集、修正できる。

　このパネルでは、以下のコマンドシステムを利用することもできる。

• /tab：開いているタブの内容を挿入
• /file：特定のファイルまたはファイルツリーの内容を挿入
• /terminal：ターミナルの出力結果を挿入
• /diagnosis：コードベース全体から診断情報を挿入
• /fetch：任意のHTTP URLからの応答を挿入

アシスタントパネルの使用イメージ（提供：Zed Industries）

　例えば、fileコマンドを使用すると、コードベースから関連するコンテキストを自動で取り込むことができる。

　「コマンドシステムは、WebAssemblyやJSONベースのコンテキストサーバプロトコルを介して拡張することも可能だ。ユーザーごとのワークフローに合わせたカスタムコマンドを作成可能であり、将来的には言語サーバが言語固有の方法でコンテキストを取得するためのコマンドが追加される見込みだ」と、Zed Industriesは述べている。

インライン変換

　インライン変換は、エディタ上で自然言語プロンプトを用いてコードを変換したり生成したりできる機能だ。［Ctrl］＋［Enter］で有効化できる。

　「インライン変換機能には、隠れたシステムプロンプトは存在しておらず、モデルの出力に影響を与える全ての入力をユーザーが確認し、制御できる。アシスタントパネルにもインライン変換を適用できるため、コンテキストを洗練させ、プロンプトを繰り返し改善できる。プロンプトエンジニアリングのためのワークスペースとして活用できる」と、Zed Industriesは述べている。