ガートナーが見つけた、人材育成で成果を出している企業に共通する「4つの要因」とは:3年以上、育成に取り組んでも53%は「実成果なし」
ガートナーは、デジタル人材育成に関する調査結果を発表した。デジタル人材育成に3年以上取り組んでいても、具体的な成果を出している企業は3割に満たないことが分かった。
ガートナージャパンは2024年10月2日、デジタル人材育成に関する調査結果を発表した。この調査は、非IT部門の社員に対してIT教育を実施している国内企業や公的機関に勤める、IT部門/DX(デジタルトランスフォーメーション)部門の管理層を対象に実施した。調査結果によると、全社的なデジタル人材育成に3年以上取り組んでいても、具体的な成果を出している企業の割合は24%にとどまっていることが分かった。
「成果を得ている企業」と「得られていない企業」の取り組みの違いとは
ガートナージャパンの林 宏典氏(ディレクターアナリスト)は、「人材育成が具体的な成果に結実するには、ある程度の期間が必要だ。だが、3年以上取り組んでいても、過半数は成果を得られていないことが判明した。これはデジタル人材育成にかけた大きなコストと時間が、成果として回収されていない企業が多いことを示している」と分析している。
今回の調査結果を基にガートナージャパンでは、成果を得ている企業と得られていない企業の取り組みを比較して、成果の創出に影響を及ぼす4つの要因を抽出した。その要因とは以下の4つだ。
- 事業部門の関与が強いほど実成果を獲得しやすい
- 実践的な教育手法を採用すると実成果を獲得しやすい
- 何らかのスキル活用機会が用意されているかどうかで実成果に大きな差が出る
- 評価指標が経営視点に近づくほど実成果を獲得しやすい
例えば「事業部門の関与を強める方法」についてガートナージャパンは、DXに意欲的な部門長を見つけて、その部門の人材育成を重点的に支援することを提案している。「実践的な教育手法」としては「仮想テーマにチームで取り組むケーススタディー型研修」や「自社の実際の課題に取り組むプロジェクト型研修」といった形式をデジタル人材育成の教育手法に採用すると、習得した知識やスキルを自ら実践して定着度を高める機会になるとしている。
林氏は「評価指標を経営視点に近づけさせる」という点について次のように述べている。
「デジタル人材育成の成果の評価は、DX本来の目的である経営、事業レベルの指標で実施すべきだ。CIO(最高情報責任者)は、設定した指標を基に、経営や事業部門が期待した成果をどの程度出せているかを把握し、より成果が高まるように教育プログラムを進化させる必要がある」
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