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10年後のエンジニアに必要なスキル仕事が「つまんない」ままでいいの?(118)(3/3 ページ)

皆さんは「10年先の未来」を想像したことがありますか? エンジニアにはどんな未来が待ち受けているのでしょうか。

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これからのエンジニアに必要となるスキル

 エンジニアといえば、これまでは、プログラミング言語のような高度なスキルを身に付けて仕事をする「なれる人しかなれない」イメージでした。

 しかし未来は、人材不足に始まる課題が山積していきます。その結果エンジニアに求められるのは「いかに早く業務改善をするか」「いかに早くデジタル化するか」のような、「高度さ」よりも「容易さ」や「スピード感」になっていくのではないかとみています。

 そこで必要となるのは、習得が難しい高度なプログラミングスキルよりも、ノーコードツールのような、少しの知識と経験があれば使いこなせるツールのスキルや、業務課題をできるだけ早くデジタルツールに落とし込むための「業務改善能力」、顧客が課題だと思っていることを言語化し、デジタル化の糸口を探る「コミュニケーション能力」などではないかと思います。

 ポイントは、人材がいなくなり課題が山積していく中で「できるだけ早く業務改善する能力」です。

 だからといって、プログラミングのような高度なスキルが必要なくなるという意味ではもちろんありません。ノーコードツールのような便利なツールや、リモートでも働けるようなツールを開発するためには、高度なスキルは必要でしょう。

 ですが、それ以上に、ビジネスの現場では人材不足による影響が顕著になって表れてくるため、「高度さ」よりも「業務改善するためのツールや、それを業務に適用できる人の存在」のニーズが高まるのではないかとみています。

年齢は制約ではなくなる

 かつてIT業界では「35歳定年説」がまことしやかにささやかれていました。「エンジニアは35歳以上になると、技術についていけなくなる」「ニーズがなくなる」といった通説です。

 しかし人材不足が進み、「業務改善するためのツールや、それを実務に適用できる人の存在」が重要になっていく今後は、35歳定年説は過去の話になっていくでしょう。

 なぜなら、今後はビジネス現場における課題を解決していくことが重要になっていくため、「高度なスキルがある」ことよりも、「業務に精通していて、ITはそこそこ詳しい」くらいの方が市場のニーズが高まっていく。そう考えると、実務経験が豊富なことが強みになるし、ノーコードのような使い勝手の良いツールを使えば、業務改善はできる。35歳以上も活躍できるシーンが十分想像できます。

 実際、先日SNSを通じて、ある60代のエンジニアから連絡を頂きました。私がかつて書いた「『35歳で定年』など絶対にない エンジニアは『長く活躍できる時代』へ」という記事をご覧いただいたのだそうです。「パブリッククラウドは学びやすく、年齢や経験を問わず習得可能な技術に進化を遂げていること、この事実を多くの人に知ってほしい」とのことでした。

 35歳定年説がまことしやかにささやかれていた時代と比べると考えられないことです。僕たちが働く環境は少しずつ、でも確実に変わっていることを実感しました。

未来をおぼろげながらに見て、歩む

 ここまでが、これからの「エンジニアの10年」を想像したときの僕の見立てですが、冒頭でお話ししたように、10年という時間軸はあいまいで、実際の未来がこのようになるのか否かは分かりません。

 ですが、一寸(いっすん)先が闇でお先真っ暗な未来を歩むのと、ぼんやりとはしていても、おぼろげながらに先が見える未来を歩むのとでは、歩み方は変わってくるでしょうし、未来に対する安心感や戦略が変わってくるのではないかと思います。

 皆さんも「エンジニアの10年」を想像してみてください。そして、自分なりに言葉にしてみてください。いろんな可能性があっていいと思います。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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