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オンプレミスでのAIサーバ導入が遅れる一方でAIインフラ支出は2028年までに2000億ドル超に なぜ?IDC予測

IDCは、世界のAIインフラ市場が2028年までに2000億ドルを超えるとの見通しを明らかにした。2024年上半期には前年同期比で97%増加し、474億ドルに達した。

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 IDCは2025年2月18日(米国時間)、世界のAI(人工知能)インフラ市場が前例のない成長を遂げ、2028年までに2000億ドルを超えるとの見通しを明らかにした。

 AIインフラ(AIを展開するためのコンピュートおよびストレージハードウェアインフラ)市場は2019年以降、2桁成長を続けており、2024年上半期には前年同期比で97%増加し、474億ドルに達した。

オンプレミスでのAIサーバ導入が遅れる一方で成長著しいAIサーバ支出、要因は?

 このうちAIインフラ向けサーバへの支出が全体の95%を占め、前年同期比で105%伸びた。このAIサーバ支出のうち、クラウドおよび共有環境で展開されるサーバへの支出が72%を占めた。ハイパースケーラー、クラウドサービスプロバイダー、デジタルサービスプロバイダーがインフラ能力を拡張したからだ。これに対し、従来型企業におけるオンプレミスのAIインフラ導入は大きく遅れている。

 サーバの種類別に見ると、AIアクセラレータ搭載サーバがAIプラットフォーム用に好まれている。2024年上半期にはこれらのサーバへの支出が前年同期比で178%増え、AIサーバ支出全体の70%を占めた。IDCは、AIアクセラレータ搭載サーバへの支出が年平均42%のペースで伸び、2028年までにAIサーバ支出の75%を超えると予測している。

AIストレージの支出動向

 一方、AIインフラ向けストレージへの支出は、AIモデルのトレーニングに必要な大規模データセットを管理する必要性に加え、推論フェーズのデータのトレーニング、チェックポイント、リポジトリのストレージによってけん引されてきた。2024年上半期のAIストレージへの支出は、前年同期比で18%増加し、クラウドで展開されるストレージがこの支出の40%を占めた。

国、地域別の内訳

 2024年上半期のAIインフラ市場の国、地域別の内訳を見ると、米国が最大の59%を占め、中国(20%)、アジア太平洋と日本(13%)、欧州、中東、アフリカ(7%)がこれに続いた。

 IDCは、これらの国、地域のAIインフラ支出の2028年までの年平均成長率(CAGR)について、中国が35%、米国が34%、アジア太平洋と日本が21.3%、欧州、中東、アフリカが20.9%になると予測している。

2028年にはどうなる?

 また、2028年までに世界のAIインフラ支出は2230億ドルに達し、クラウド環境で展開されるサーバがこの支出の82%、AIアクセラレータ搭載サーバがこの支出の74%程度を占める見通しだ。

 「IDCは、AIの導入が今後も目覚ましいペースで進んでいくと予測している。世界のハイパースケーラー、通信サービスプロバイダー(CSP)、民間企業、政府機関がAIに優先的に取り組むようになっているからだ。その一方で、AIインフラの電力消費に関する懸念が高まっている。これは、データセンターがアーキテクチャを最適化し、電力使用を最小限に抑えるための選択肢を探る要因になるだろう」と、IDCのワールドワイドエンタープライズインフラトラッカー担当のグループバイスプレジデントを務めるリディーチェ・フェルナンデス氏は述べている。


2023〜2028年の世界AIインフラ市場予測(IDC 2025年)

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