「カオス」を楽しむ! GovTech東京の女性エンジニアたちが描く、住民体験とDXの未来:民間視点で行政DXに挑む(3/3 ページ)
GovTech東京で、立ち上げ時期ならではの混沌(こんとん)を整備していく過程を楽しむ女性エンジニアとクリエイター。彼女たちは、行政と都民の未来をどのように変えていくのか――。
GovTech東京で得た経験をどう生かしていくか
GovTech東京の任期は5年と決まっている。
5年とはいえ、行政でDXに関与する仕事を経験するメリットはいろいろありそうだ。都民なら自分の行政との関わりをアップデートしていくのを体験できる。面倒な給付金などの手続き、保育園の申し込みなどをデジタル化して便利な未来を作って行く手応えを味わえる。
あるいはGovTech東京で得た経験を東京以外の地域で生かす道も十分あり得そうだ。東京アプリが目指すような行政サービスのデジタル化は、今後他の自治体でも広がる可能性が高い。
都道府県ごとの行政サービスに個性があってもいいが、機能としては共通したものも多い。吉田氏は「GovTech東京は東京だけではなく、将来的には全国、世界にも貢献していこうというビジョンがあります。私も地方出身なので、いつかは地方にこれを持って帰れるかと考えることがあります。また、GovTech東京の知名度を上げ、信頼度を高められるように実績を作りたいと思っています。転職時に『GovTech東京の出身ですか。それなら歓迎です』と言われるような」と話す。
そして都庁の仕事は本当に幅広い。東京都には山間部や離島もある。部局も多く、総務、都市整備、福祉など、教職員や消防士なども含めれば16万人ほどの職員がいる。「東京のDX」といってもいろいろなプロジェクトに関与できる可能性がある。
東京アプリが発展したら、パーソナライズ機能で本人登録しているマイナンバーカードからその人が対象となる支援金や補助金の案内が通知されたり、そのまま手続きまでスマホでできたりするだろう。恐らくここ数年で住民の行政サービス体験は大きく変わると思われる。東京だけではなく、他の道府県にも広がる。
2人は未開のカオスを模索しながらも、住民の新しい体験の立役者となることを、自負と共に楽しんでいる。
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