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AI時代は「クラウド一択」はもう古い? クラウド移行の“誤算”から脱却する第3の選択肢とは?クラウド移行で、なぜかコストが膨らむ……

「クラウドなら従来のIT課題は解決できる」と期待してクラウドシフトしたものの、後でコスト増や運用負荷の落とし穴にはまる場合がある。こうした「クラウド移行の“誤算”」から脱却し、コストと運用を最適化するための“第3の選択肢”とは何か。

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 ここ数年、「クラウドファースト」「クラウド・バイ・デフォルト」を合言葉に、企業は業務システムのクラウド移行をこぞって進めてきた。クラウドインフラは高いスケーラビリティを備え、短期間で導入でき、従量課金制によって利用コストを最適化できるなど、数多くのメリットを備える。

 しかし、クラウドインフラは決して、あらゆる課題を解決してくれる存在ではない。システムの用途によっては、オンプレミスインフラの方が適しているケースも少なからず存在する。代表的なのは「機密性の高いデータを管理する必要がある」「ハードウェア構成や設定を柔軟にカスタマイズしたい」などのニーズがある場合だ。

高橋謙之氏
NECの高橋謙之氏(インフラ・テクノロジーサービス事業部門 コンピュート統括部 プロフェッショナル)

 「クラウドとオンプレミスそれぞれの長所や短所をあまり深く考慮することなく『世の中の流れだから』と安易に自社システムをクラウドに移行した結果、時間がたってからさまざまな課題に直面するケースが目立っています」

 こう語るのは、NECでサーバ製品の販売促進に携わる高橋謙之氏(高は「はしごだか」)だ。特にクラウドに構築した社内システムが、社外のシステムと接続して頻繁にデータの出し入れをしていると、高額なクラウドサービスの通信料がかさんでしまい、オンプレミスシステムよりもはるかに運用コストが高くなってしまう場合があるという。もともとコスト最適化のためにクラウド移行したのだとしたら、これでは本末転倒だ。

 NECでストレージ製品を担当する山岡朋花氏によれば、こうしたクラウドコストの問題は、近年のAIブームでさらに顕在化している。

 「クラウドインフラでAIアプリケーションの開発や運用をするために大量のデータを扱うようになった結果、運用コストが増大してしまうことが多い印象です。他にも、AIの応答時間や演算処理の時間がシビアに問われる場合は、クラウドインフラとの通信時間を短縮するために、オンプレミスでAI基盤を構築するケースが増えつつあります」

 NECでサーバ製品を担当する田中献大氏は、AI技術の普及とともに日常業務で機密情報を扱う機会が増えたことも、インフラ選定を左右する重要な視点になっていると指摘する。

 「AI技術を使ってさまざまな経営データを分析し、その結果を経営層や事業責任者の意思決定に使うことが増えました。これは、経営戦略にかかわる重要なデータをクラウドインフラにアップロードする機会が増えたとも言えるので、機密情報がクラウド経由で外部に流出するリスクを考えざるを得ません。こうしたリスクを警戒して、AI基盤をあえてオンプレミスに構築するニーズが現れ始めています」

オンプレミスインフラを従量課金で利用できるサービスが「第3の選択肢」に

 こうした課題を解決するためには「クラウドとオンプレミスそれぞれのメリット、デメリットをきちんと理解し、システムやワークロードの特性に応じて適切に使い分けることで、両者の『いいとこ取り』ができます」と高橋氏は説く。こうしたインフラ戦略を支援するために、ハードウェアベンダー各社は自社製品のサブスクリプションサービスを提供している。NECにも、同社のサーバおよびストレージ製品を対象とした「従量課金サービス」がある。ハードウェアはオンプレミスに導入しつつ、コンピューティングやストレージのリソース利用量に基づいて月額料金が発生するサブスクリプションモデルとして提供するものだ。

山岡朋花氏
NECの山岡朋花氏(インフラ・テクノロジーサービス事業部門 データストレージ統括部 ディレクター)

 NECの従量課金サービスを使うと、NECのサーバ製品「Express5800」シリーズと、ストレージ製品「iStorage」シリーズを、オンプレミスに導入して占有資産として利用しつつも「所有」しない形式が可能だ。コストを設備投資(CAPEX)ではなく運用経費(OPEX)として計上できる。サーバとストレージをこのような形態で調達することで、初期導入コストを大幅に抑えられる。山岡氏はこう説明する。

 「一般的な買い切り方式の場合、将来のシステム規模と拡張を想定してあらかじめリソースのキャパシティーを多めに見積もり投資する必要があります。使った分だけを毎月支払う従量課金方式であれば、利用したリソースの分に対するコストが発生するため無駄なくスモールスタートがしやすくなります。資産としてではなく費用としてコストを計上できると、会計上のメリットも得られます」

 海外ベンダーのクラウドサービスを利用する場合、為替によって利用料金が大きく変動するリスクが常に付きまとう。しかし、国内ベンダーのサービスはその心配がなく、将来にわたって利用料金の見通しを付けやすい。NECの従量課金サービスは定額課金のメニューもあり、こちらを選べば年間費用をより正確に見積もれる。

 従量課金メニューの方は、固定の「基本料金」と、リソース利用量に応じて支払う「従量料金」の2階建ての料金体系となっている。ここで言う「リソース利用量」は、サーバの場合は「メモリ利用量」、ストレージの場合は「データ利用量」に基づいて毎月集計され、最終的に従量課金部分の料金が算出される。

図1
NECの従量課金サービス(提供:NEC)《クリックで拡大》

他社のサブスクリプションモデルにはない、NECならではの特徴

田中献大氏
NECの田中献大氏(インフラ・テクノロジーサービス事業部門 コンピュート統括部 主任)

 NECの従量課金サービスの中で特徴的なのは、サーバの「シェアリング」という課金方式だ。ユーザー企業がサーバを複数台契約して従量課金で利用する場合、利用料金は各サーバのメモリ利用実績データを基に平均値を算出し、決まる。田中氏は「シェアリングによって、サーバの投資コストを効率化できます。これは、これまでのクラウドやオンプレミスの常識を覆した仕組みです」と強調する。

 基幹システムの本番サーバは常にフル稼働しているが、検証用サーバやコールドスタンバイ用のサーバなどは普段ほとんど稼働していないものだ。一般的な買い切り方式や他社のサブスクリプションサービスの場合、稼働が少ないサーバでも一定の基本料金を支払う必要がある。しかし、NECの従量課金サービスでシェアリングを適用すると、稼働率が高いサーバと低いサーバのメモリ利用量の平均値から料金が決まるため、無駄なコストを削減し、全体の利用コストを抑えられるという。

図2
サーバの従量課金サービスにおける「シェアリング」が、インフラ投資コストの効率化に寄与(提供:NEC)《クリックで拡大》

 ストレージのサービスに関しても、プライマリストレージからバックアップ、アーカイブストレージまで、幅広い製品ラインアップが従量課金で利用できるようになっている。山岡氏によれば、ランサムウェア対策で注目を集めているテープストレージ製品もサービスで利用できるのがユニークな点だ。

 ストレージはオールフラッシュ構成だけでなく、高速なSSDに加えて安価なHDDも搭載でき、両者のハイブリッド構成の従量課金モデルも選択可能だ。保存容量は自由に選択できるようになっており、用途に応じた構成のストレージ装置を従量課金サービスで使える。

図3
iStorage従量課金/定額課金ストレージサービス(提供:NEC)《クリックで拡大》

サブスクリプションモデルでインフラ投資コストの最適化を

 NECのストレージ従量課金サービスは2023年2月から、サーバ従量課金サービスは2024年1月から開始しており、販売開始以降多くの引き合いと導入実績があるという。田中氏によれば、「クラウド”誤算”」からの脱却を求めてサーバ従量課金サービスを利用する企業の中には、大幅なコスト削減を実現したケースもある。

 「アクティブ・スタンバイのクラスタ構成を組んでいるサーバを従量課金サービスで調達し、シェアリングを適用することで、普段稼働していないスタンバイ側サーバの投資額を大幅に削減できたお客さまの事例があります。また、サーバの調達において一括買い切りの場合は煩雑な社内稟議(りんぎ)が必要だったのが、従量課金サービスにすることでこれらの間接コストを削減できた事例もあります」

 ストレージに関しては、保存容量の将来予測が付きにくいケースで従量課金サービスが重宝されているという。

 「サービス事業者として仮想基盤を利用し複数のユーザーにサービスを提供するビジネスモデルのように、将来のデータ量が予測できず不確定要素が多いユースケースでも従量課金サービスは重宝されています。データの重複排除機能を利用して保存容量を削減しているお客さまの中には、重複排除が想定通りに機能しないことを考慮して大きな保存容量を購入していたのが、従量課金で投資額を大幅に削減できたケースもあります」(山岡氏)

 NECはさらにサブスクリプションモデルのメリットを引き出すべく、今後サービス対象となる製品のラインアップを増やし、NECの価値創造モデル「BluStellar」の枠組みに連なる各種製品・サービスとの連携により一層のサービス価値創出に努めている。NECのマネージドプラットフォームサービスを活用することで、企業のIT部門におけるインフラ運用や最適化を支援し、運用負荷の軽減も実現できる。高橋氏はこう話す。

 「当社のサーバやストレージは、長い歴史の中で培ってきた高い信頼性と品質を強みとし、全国の保守サービスネットワークを通じて充実したサポートサービスを提供しています。これをサブスクリプションモデルでも利用可能にしたことで、これまでNEC製品を使ったことがないお客さまにもその価値を届けやすくなったと考えています。これからもサービスの内容を充実させ、お客さまの要望によりタイムリーにお応えします」

写真
NECはInterBEE 2025に出展します

 メディア業界全体のビジネス変革を見据え、

 NECが考える新たな放送モデルとして、次世代マスターやメディアDXを展示。

 本記事の従量課金サービスもNECブースにて展示予定です。

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