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SUBARU、「次世代アイサイト」開発に向けて「HPE Cray XD670サーバ」を導入既存比2倍性能でAI開発を加速

AIモデル学習を加速し、「2030年死亡交通事故ゼロ」を目指す。

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 自動運転/ADAS(先進運転支援システム)領域でもAI開発が加速する中、日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2025年7月28日、SUBARUが「次世代アイサイト」のAI(人工知能)開発に向けて「HPE Cray XD670サーバ」を導入したと発表した。

 SUBARUの運転支援システム「アイサイト」は、車内前方に装備したステレオカメラで前方を監視して障害物を3次元的に認識。自動ブレーキ、アダプティブ・クルーズ・コントロールなどを制御する。現在は2台のステレオカメラで捉えた画像で対象物までの正確な距離を計測するとともに、超広角の単眼カメラとレーダーで安全性能を実現している。次世代アイサイトはAI技術を融合し、2台のステレオカメラによる距離の計測とAIによる対象物の分類を同時実行することでさらなる安全性向上を目指すという。

 導入した「HPE Cray XD670サーバ」は、NVIDIA NVLink接続によって最大4基のGPU(Graphics Processing Unit)を接続できる「NVIDIA H200 GPU」を8基搭載。直接液冷方式による冷却機構と省電力性能を特徴としている。AI技術の性能評価の標準化を目的とする業界団体MLCommonsが主導する「MLPerf Inference v5.0ベンチマーク」でも、高評価を獲得しているという。

AIアルゴリズムの最適化や推論モデルの学習を加速

 SUBARUはHPE Cray XD670サーバをオンプレミス環境で稼働させ、次世代アイサイトのAIアルゴリズムの最適化や推論モデルの学習を加速させる。「省電力性能に優れたHPE Cray XD670を導入したことで、既存システムの2倍の性能が実現され、オンプレミスでGPUリソースを存分に利用できる環境が整う」とコメントしている。

 同社はADAS領域におけるソフトウェア内製開発と、AIによる画像認識を強化する拠点として「SUBARU Lab」を2020年12月に開設。世界中の道路でクルマを運転、収録した膨大な量の動画、研究データ、知見がADAS開発のアドバンテージになっているという。

 なお、矢野経済研究所が2025年6月に発表した「ADAS/自動運転システムの世界市場規模予測」(2024年調査)によると、ADAS/自動運転システムの世界搭載台数は日米欧中で標準搭載が進み、2035年に8399万8000台に成長(2023年の世界搭載台数は5355万5000台)。2025年もSAE(米国自動車技術者協会)レベル2(部分運転自動化)が世界市場をけん引し、ADAS/自動運転システムの世界搭載台数は6002万6000台に成長すると予測している。ADASソフトウェア開発の環境整備面でも一層の競争激化が予想される。

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