「経営層はAIの可能性を理解している」世界は83%、日本は52%:セキュリティよりコストの懸念が上回る日本
インテル「AI PCグローバルレポート」に見る日本企業と世界の「差」。
インテルは2025年8月18日、「AI PCグローバルレポート」を発表した。日本を含む全23の国、地域に住む5050人のビジネスパーソンを対象に2025年5月に実施した調査で、「自社におけるAIやAI PCの活用状況」「それらに関する意識やイメージ」などを包括的に聴取。世界と日本のデータを比較した。結果、日本国内でAI PCが普及するには、「組織全体でのAI活用と導入理解を促す必要がある」ことが分かったという。
AI PCの理解度については、全体では85%、日本では52%が「よく理解している」もしくは「理解している」と回答し、34ポイントの差があることが分かった。導入の検討状況については全体の87%が「AI PCへの移行を進めている」もしくは「導入を計画している」と回答。日本は65%と、22ポイントの差があった。
「従業員がAIを活用し、それに伴う課題やリスクを理解するために、どのような取り組みを行っているか」について、日本では「従業員が職場でAIツールを試すことを推奨している」(31%)、「AI機能を備えたツールに関する継続的なトレーニングを実施している」(31%)と回答した一方、24%が「従業員がAIを効果的に活用するための積極的な取り組みは行っていない」、7%が「従業員が職場でAIを使用することを推奨しない」と、計31%が積極的に取り組んでいない、推奨していないことが分かったという。
AI PCに対する意識としては、「AI PCが生産性を向上する」と考えている割合は、世界で90%、日本では70%。「AI PCがカスタマーインサイトのカギである」と考える割合は世界が90%、日本は69%。「AI PCはイノベーション(新製品やサービス、収益の創出)と関連性がある」については世界が92%、日本は75%と、日本におけるAI PCの活用イメージには依然として海外との差があることが分かった。
AI PCに限らない、テクノロジーに対する日本企業のスタンス
AI PCの導入障壁は、世界では「セキュリティ上の懸念」が最も高く33%。日本でも「セキュリティ上の懸念」が37%となった。しかし日本において最も高い障壁は「初期コスト」「運用コスト」(いずれも44%)という結果に。導入上の懸念としては、世界の49%、日本の68%が「データ漏えい」を選択したという。
一方、実際にAI PCを活用している人に「AI PC導入する際のチャレンジ」を聞いたところ、世界では「追加のトレーニングの必要性」(34%)が最も多く、「セキュリティの問題」は23%にとどまった。
また、「自社のリーダーシップ(経営層)はAIの可能性を理解している」については、世界では83%、日本では52%。従業員についても、世界では73%が「AIの可能性を理解している」と回答したのに対し、日本では48%にとどまった。「自社のITチームはAI PCの導入に準備ができていると考えているか」については、世界が90%、日本は65%と、全体に消極的な傾向が明らかになった。
新たな手段がもたらすチャンスよりコストやセキュリティが重視されること、経営層のテクノロジーに対する消極的なスタンスなどはAI PCに限ったことではない。日本企業の一つの傾向として参考になるのではないだろうか。
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