「Windows 10」はサポート終了直前でもシェア40% “Windows 11未移行”PCの行方は:PC4億台の行き場
MicrosoftのクライアントOS「Windows 10」は、2025年10月14日に公式サポートを終える。だがサポート終了目前でも、世界中で相当数のPCが「Windows 11」に移行できていない。英国の事業者がその状況をPC処分の視点から分析した。
MicrosoftのクライアントOS「Windows 10」の公式サポートは、2025年10月14日に終了する。だが調査によれば、サポート終了直前のこのタイミングになっても、依然として相当数のPCが「Windows 11」に移行できない、あるいは移行しないままの状態になっている。
サポート終了後、Microsoftは無料のセキュリティ修正プログラムを提供しなくなるので、「拡張セキュリティ更新プログラム」(ESU:Extended Security Uupdate)のような延命策を講じない限り、そのPCはマルウェアに対して脆弱(ぜいじゃく)になるなど、深刻な問題を抱えることになる。ほとんどの場合、更新が停止したWindows 10を搭載したままPCを業務で使用するという判断はできない。
それを前提に英国の法人向け廃棄物管理およびリサイクル企業Business Wasteは、PC処分の視点からWindows 10のサポート終了がどのような影響をもたらすのかを分析した。
PC“4億台”の行き場は? サポート終了の影響
使われなくなったWindows 10搭載PCが処分される可能性があることを前提に、Business Wasteはどれだけの価値が廃棄に向かうのかを分析した。世界中で4億台のデバイスがWindows 11に移行できないとの推定を踏まえた上で、世界における英国のPC市場シェアを3.6%とし、1440万台のPCが廃棄される可能性があるとした。
そのうちノートPCとデスクトップPCの割合をそれぞれ70%と30%と仮定し、デバイスの平均重量に基づいて1280万5100キログラムの金属が回収され、金、銀、銅といった材料の価値は合計で18億900万ポンド(約3437億円)になると同社は試算した。
StatCounter GlobalStatsによれば、日本では2025年9月時点でWindows全バージョンに占めるWindows 10のシェアは40%で、相当数のPCがWindows 11に移行できていないと考えられる(同時点でのWindows 11のシェアは52.03%)。
基本的にPCがWindows 11に移行できる要件を満たしているのであれば移行する必要があるが、サポート終了前月時点で依然としてWindows 10が40%ものシェアを占めていることを前提にすると、システム要件を満たしていないために移行できないPCが続出していると考えられる。
Windows 11ではCPU、ストレージ、メモリのスペックがWindows 10のシステム要件よりも引き上げられていることに加えて、「TPM 2.0」(TPM:Trusted Platform Module)に準拠したセキュリティモジュールが必要といった要件が障壁になっている可能性がある。
Business WasteはWindows 11搭載のPCが全て廃棄されることを想定した試算としているが、もちろん全てがすぐに廃棄になるわけではない。一部はESUの契約の下、Windows 11対応PC購入までの一定期間使い続けられると考えられるし、OSを「Linux」に入れ替えてPCを再利用するケースも考えられる。
そうではなく更新されないままのWindows 10搭載PCが手元に残るのであれば、適切なデータ消去やリサイクルを検討しなければならない。
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