「孤軍奮闘型の情シス」の割合が増加、さらに「兼任化」も進む ノークリサーチ調査:情シス人員の“中間層リスク”が顕在化
ノークリサーチは、情報システム部の担当が少人数である企業の実態調査結果を発表した。それによると中堅中小企業で「1人体制の情シス」の比率が2023年から2025年にかけて上昇しており、さらに「選任」の割合も下がっていることが分かった。
ノークリサーチは2025年10月14日、情報システム部の担当が少人数である企業の実態調査結果を発表した。情報システム部の人員数は減少傾向であり、人員数が横ばいな企業でも「専任」の減少と「兼任」が進んでいることが分かった。
人員数が増えたら増えたで生まれる課題
情報システム部の担当人員数を調べたところ、年商500億円未満の中堅中小企業について「2〜5人」は対2023年比で2.4ポイント減の33.2%、「6〜9人」は同2.1ポイント減の9.5%、「10人以上」は同5.1ポイント減の7.8%だった。一方、「1人」は2023年の21.3%から2025年は24.5%に増えていた。また、年商5億〜50億円の中小企業層に限ると、人員数に大きな変化は見られなかった。
ただ、人員数は変わらなくても人材不足の影響は深刻化しているようだ。それが分かるのは“専任”の割合の変化だ。
専任、つまり情報システム部の業務のみを担当している人の割合は2023年の28.7%から16.7%に減少し、他の業務と情報システム部の業務を兼ねる“兼任”の割合は、2023年の48.0%から61.1%に大幅に増加している。ノークリサーチはこれについて「人員数は変わらなくても、兼任が増加することでIT管理や運用の実質的な人材不足が発生しているケースがある」と注意を促している。
こうした課題は、情報システム部門の人員を増やすことで解決する可能性が高い。ただ、調査結果からは企業規模によっては人員増加だけでは解決できない新たな課題が生まれることが分かっている。
調査結果によるとDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む際にユーザー企業が直面する課題として、「既存システムの管理、運用で手いっぱいだ」と回答した企業の割合は、IT管理や運用の人員数が増えるにつれて高くなっていた。また、「業務フローを変更すると逆に効率が下がる」と回答した企業の割合は、情報システム部門の人員が「2〜5人」と「6〜9人」の方が「10人以上」よりも高かった。
ノークリサーチは、IT管理、運用の人員が2〜9人規模の企業では、DX推進などで業務フローが変化した際に、社内対応が集中しやすく、運用が逼迫(ひっぱく)するリスクがあると指摘。体制が小規模でもなく大規模でもないこの“中間層”は、分業や問い合わせ対応の仕組みが整いにくいため、導入時の運用設計が重要になると分析している。
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