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AI活用で他社を上回る成果を生み出す企業の共通点とは? Ciscoの年次調査AIエージェント導入意欲は高いが、インフラが追い付いていない

Cisco Systemsは、企業におけるAIの投資、導入、活用状況をまとめた年次調査「2025 AI Readiness Index」を発表した。全ての指標で他社を上回っている企業を先行者と位置付け、共通点をまとめている。

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 Cisco Systems(以下、Cisco)は2025年10月14日(米国調査)、年次調査「2025 AI Readiness Index(Cisco 2025 AI成熟度指標)」の結果を発表した。

 AI Readiness Indexは、企業におけるAI(人工知能)の投資、導入、活用状況を調査したものだ。30の国と地域における企業(従業員500人以上)でAI戦略を担当するシニアITおよびビジネスリーダー、8000人が回答した。

 同調査では、AIを活用したビジネス価値創出について、全ての指標で他社を上回っている企業が日本企業で9%、グローバルでは約13%いることが明らかになったという。Ciscoはこれらの企業を「先行者(Pacesetters)」と位置付け、先行者である企業の共通点を次のようにまとめている。

AI活用で他社を上回る成果を生み出す企業の共通点

AIをビジネスの中心に据えている

 先行者である企業の99%がAIのロードマップを持ち(日本は44%)、91%が組織変革を円滑に進めるための計画を策定している(同33%)。予算と意欲も一致しており、79%がAIを最優先投資対象とし(同19%)、96%が短期・長期両方での資金調達戦略を持っている(同37%)。

成長に適応できるインフラを整備

 先行者の71%が「ネットワークが完全に柔軟で、どんなAIプロジェクトにも即時対応できる」と回答(日本は11%)。77%が今後12カ月以内にデータセンター増強に向けた投資を計画している(同52%)。

パイロットから本番運用へ着実に移行

 先行者の62%がAIのユースケースを生み出し、規模を拡大させるための成熟したイノベーションプロセスを持ち(日本は11%)、77%が既にAI活用事例を本番環境で確立させている(日本は17%)。

AI投資効果を追跡

 先行者の95%がAI投資の効果を追跡しており、71%が「新たな収益源を生み出せる」と確信している(日本平均の2倍超)。

セキュリティを強化

 先行者の87%がAI固有の脅威を非常に認識しており(日本は40%)、62%がAIをセキュリティアイデンティティーに組み込み(同22%)、75%がAIエージェントを完全に制御・保護できる体制を構築済みだ(同28%)。

 Ciscoは「これらのアプローチにより、先行者の90%が収益性、生産性、イノベーションの向上を実感したと報告しており、日本全体の約49%と比べても大きく上回る」と述べている。

「AIインフラストラクチャ負債」が、AIによるビジネス価値創出の阻害要因に

 同調査によると、日本企業はAIエージェントの導入意欲が高いにもかかわらず、インフラが追い付いていない状況にあるという。

 日本企業の約87%がAIエージェントの導入を計画し、約30%の企業が1年以内に従業員とAIエージェントの協働を想定している。だが、29%強は「自社ネットワークは複雑性やデータ量に対応できない」と回答しており、ネットワークの柔軟性を確保している企業は11%にとどまっていた。

 Ciscoは、組織の51%が「3年以内にワークロードが30%以上増加する」と予測していることや、組織の65%が「データの一元管理が困難」であること、「堅牢(けんろう)なGPU容量を持つ組織が21%にとどまる」といった調査結果を踏まえ、「妥協やアップグレード延期、インフラ投資不足は『AIインフラストラクチャ負債』となり、AIによる価値創出を長期的に阻害することになる」と結論づけている。


 AIエージェントによる生産性向上やビジネス価値創出に対する期待は高まる一方だが、それを支えるインフラがグローバルや先行企業と比べて日本は遅れている状況にあることを調査は示している。AI活用を見据えたインフラ投資の重要性を経営層に提言するための、強力な根拠といえそうだ。

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